決定力不足を解消する秘策は“オレ様1トップ”だ。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が29日、エースFW本田圭佑(29=ACミラン)を来年以降は1トップで起用する方針を明言した。一方で、年明けの欧州視察の際には本田との直接会談も予定。この席でクラブのレギュラーから降格した日本のエースに改めて“移籍のススメ”を説く構えだ。

 この日、ハリルホジッチ監督は中学生年代の選手を集めて都内で行われた「KIRINキャンプ」に参加し、約4時間にわたって熱血指導した。重要視する育成年代を指導する貴重な機会に「面白かった。何人かの選手には明るい未来が待っている」と上機嫌だった。

 いつになく冗舌な指揮官は、来年から始まるロシアW杯アジア最終予選に向け温めてきた“腹案”まで披露。「本田を真ん中、中央のFWで考えている」と右サイドから1トップへのコンバートを明言。その適性について「彼は足元だけじゃなく、背後にも走り始めている。背後を取ろうと努力し、16メートル(ペナルティーエリア)の中でも必死に点を取ろうとしている。パワーもある」と太鼓判を押した。

 17日のW杯アジア2次予選カンボジア戦では後半途中からポジションチェンジを指示し、テスト済み。指揮官は「(本田は)20分で5回チャンスをつくった。初めてセンタリングからヘディングも決めた」と大きな手応えを得ており、最終予選に備えて1トップ起用に踏み切る。

 さらに、ハリルホジッチ監督は日本代表の活動予定がなく、Jリーグがオフの来年1~2月に欧州各国リーグに所属する日本人選手の視察へ出向く。なかでも「本田とDF長友(佑都=29、インテル)には会いに行っていろいろな話をしたい」とイタリア勢との面談を熱望しており、指揮官直々に新構想を説明するという。

 一方、ミランでサブに降格した本田の現状について、指揮官は「安心していない。この年齢で90分プレーしないとフィジカルが落ちてくる」と危惧する。以前から「もっとプレーできるクラブを提案したい。クラブを変えたいなら話をして私の意見を伝える」との考えを持っており、直接会談の席で移籍話に言及するのは間違いない。

 アジア2次予選で問題視されたゴール欠乏症を打開する新戦略も、本田が好パフォーマンスを維持しているのが絶対条件。代表とクラブ両面で本田の去就を左右する重要な会談となりそうだ。