【オランダ・フォレンダム29日(日本時間30日)発】サッカー女子の国際親善試合が行われ、世界ランク4位のなでしこジャパンは同12位のオランダに1―3で敗れ、今年最終戦を勝利で飾れなかった。主将のMF宮間あや(30=岡山湯郷)らベテラン勢が立て続けにミスを犯し、6月のカナダW杯決勝トーナメント1回戦で破った相手に雪辱を許す低調な内容。来年のリオ五輪アジア最終予選(大阪)に向けて不安が残る結果となった。

 W杯2大会連続ファイナリストの信じられないプレーの連続に、選手だけでなく、ベンチの佐々木則夫監督(57)の表情は凍りついた。強風が吹き荒れるピッチにも苦しめられ、ミスの連続から失点。しかも、新戦力として期待した若手ではなく、百戦錬磨のベテラン勢の失態で試合の流れを失った。

 6月24日の対戦時から4人が入れ替わったなでしこだったが、風下だったこともあってパスが思うようにつながらない。オランダの激しいプレッシャーを受けると、前半4分に左サイドの宮間がマイナス気味に戻したパスがMF宇津木瑠美(26=モンペリエ)につながらず、相手の速攻を許した。最後はFWマルテンスのシュートをGK山根恵里奈(24=千葉)が股を抜かれて先制点を献上。さらに同21分には、相手のロングパスをカットしようとしたDF鮫島彩(28=INAC神戸)が信じられないトラップミス。ボールは簡単にFWメリスに渡り、あっさり2点目を許した。

 今回の遠征で指揮官は大ベテランのMF澤穂希(37)、MF川澄奈穂美(30)、MF大野忍(31=いずれもINAC神戸)らをメンバーから外し、チームの底上げのために新戦力を招集した。この日は期待のFW有町紗央里(27=仙台)ら“カナダ不出場組”を3人先発起用。宮間ら既存勢力との融合を図ったが、皮肉にもミスをしたのはカナダ組ばかりだった。

 後半開始から投入されたMF増矢理花(20=INAC神戸)が鋭いパスでチャンスメークし、同4分には増矢のパスを受けたMF阪口夢穂(28=日テレ)がFW菅沢優衣香(25=千葉)とのワンツーからゴール。ここから指揮官は選手を大幅に入れ替え、宮間をトップ下に置く布陣などを試したが、同33分に増矢がエリア内で相手を倒してPKを与えて万事休す。シュート数は15本対3本と圧倒したが、FW大儀見優季(28=フランクフルト)が決定機で決め切れなかったのも響いた。

 試合後、宮間は「簡単にやられての失点ではなく、ミスからの失点だったので、自分を含めて甘さがある」と反省しきり。佐々木監督は「まだまだ未熟なところが出た。若手も自信を持ってできていないし、体も弱い」と合格点には程遠いジャッジを下した。

 一部のベテランを休ませてまで断行した新戦力テストは不発。リオ五輪予選に向けて、希望の光は見えてこない。年内最終戦で結果が出なかったなでしこジャパンは、課題山積みで厳しい年越しとなりそうだ。