W杯アジア2次予選シンガポール戦(12日、シンガポール)、同カンボジア戦(17日、プノンペン)を戦うハリルジャパン入りを切望されている選手は多い。ストライカーでは史上初の3年連続J1得点王が確実視されるFW大久保嘉人(33=川崎)や空中戦に強いFW豊田陽平(30=鳥栖)らの名前が挙がっている。

 なかでも大久保はC大阪(現在J2)時代から日本代表で10番を背負うMF香川真司(26=ドルトムント)とも親交が深く、連係面も不安はない。ブラジルW杯では不振だった香川を叱咤激励するなど、イレブンの「兄貴分」として、まとめ役もこなせる存在だ。

 実際に、ボルフスブルク(ドイツ)時代、ともにプレーした代表キャプテンのMF長谷部誠(31=Eフランクフルト)もかねて「嘉人さんは頼りになる。プレーはもちろんだけど、人を引き付ける力があるし、リーダーとしても期待できる」と信頼を寄せており、ピッチ内外で大きな役割が担えそうだ。

 一方、185センチの長身ストライカー豊田の武器は高さ。W杯アジア予選では敵国にゴール前を固められることが多いため、くさびとなれるポスト役の存在は不可欠。また試合終盤にパワープレーを仕掛ける際にも威力を発揮するのは間違いなく、日本攻撃陣の幅を大きく広げられるタイプの選手としてクローズアップされている。

 2人とも5月に行われた日本代表候補合宿(千葉)で、ハリルジャパン入りしているものの、W杯予選では選出されていない。指揮官は3年後のロシアW杯を見据え、ベテランの域に入った選手の招集には消極的な見解を示している。だが、予選を勝ち抜くためには安定感のある経験者の力は欠かせない場面もありそうだ。