日本代表のワンダーボーイ候補が“ポスト本田”だ。国際親善試合イラン戦(13日、テヘラン)でFW南野拓実(20=ザルツブルク)が待望のA代表デビューを果たす。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)はチーム最年少FWに大きな期待を寄せているが、これにはエースFW本田圭佑(29=ACミラン)の先行き不透明な状況が大きく関係している。

 南野に“本田の後継者”として熱い視線が注がれた。ハリルホジッチ監督は「常に点を取る。現代フットボールに適応するアタッカーだ。数年後には日本代表に、とても効果的な選手になる」と3年後のロシアW杯のエース候補と見込んでおり、本田と同じ右FW枠で招集し、競争させる方針を明確に打ち出した。

 指揮官が注目するのはそのポテンシャルの高さだ。C大阪時代の先輩、元日本代表FW柿谷曜一朗(25=バーゼル)をして「オレなんかより全然すごい」と言わしめたテクニックの高さに加え、フィジカルの強さと果敢にドリブル突破を仕掛ける積極性を持ち合わせている。

 さらに、ゴールに遠い位置から放つ強烈なミドルシュートも大きな武器だ。8月11日のリート戦では約30メートルの無回転弾をゴールに突き刺した。ハリルホジッチ監督はイレブンのミドルの精度の低さを指摘し、集中的に練習を課すなど強いこだわりを見せている。この点も南野に対する高い評価につながった。

 今季は能力が開花し、公式戦14試合9得点とゴールを量産。オーストリア1部リーグの得点ランキングでは6ゴールで2位につける。公認資格を持つ選手代理人が「あの若さで、欧州で活躍できるのはすごいこと。すぐに欧州5大リーグからオファーが来るよ」と語るように、世界でもトップクラスの有望株と評価を受けている。

 ただ、代表指揮官からの大きな期待はエースの動向と無関係ではない。29歳になった本田は、年齢的に肉体的な衰えが出始めてもおかしくなくなった。さらにACミランではシニシャ・ミハイロビッチ新監督(46)やクラブ幹部、サポーターの批判を展開して造反。今後“干される”のは確実で、ゲーム勘の低下は免れず、代表でのパフォーマンスにも関わってくる。地元メディアではすでに来年1月の放出がささやかれているが、“問題児”の引き取り手はなかなか見つからないだろう。こうした状況を踏まえたうえで、ハリルホジッチ監督は本田に代わる新エース候補として南野に白羽の矢を立てたのだ。

 20歳のイケメンストライカーは、果たして本田に“引導”を渡すような活躍を見せられるか。日本代表の行く末も左右することになりそうだ。