国際サッカー連盟(FIFA)の倫理委員会は8日、ゼップ・ブラッター会長(79)と、欧州サッカー連盟(UEFA)会長も務めるミシェル・プラティニ副会長(60)に90日間の暫定的な活動停止処分を科したと発表した。さらに、処分は韓国の鄭夢準FIFA元副会長(64)にも及び、倫理規定違反で6年間の活動停止と罰金。これにより、立候補を表明していた来年2月の会長選出馬もアウトとなった。

 ブラッター氏は2005年カリブ海サッカー連合(CFU)と放映権に関する契約を結んだ件について背任容疑がかけられ、プラティニ氏にFIFAの資金200万スイスフラン(約2億5000万円)を不法に支払った疑いももたれている。プラティニ氏も9月にスイス検察当局から証人として事情を聴かれていた。

 これとは別に、鄭氏は18年と22年W杯招致の過程で、900億円を超える基金の設立を約束した書簡を同僚の理事やサッカー関係者に送ったことが賄賂にあたると問題視され、今回の処分に至った。6日に潔白を証明する会見をソウルで行ったが、これも倫理委の心証を悪くしたようで、長期間の活動停止という厳罰を受けた形だ。

 鄭氏は「無責任で不道徳な実態をさらけ出した」と倫理委を批判したが、関係者の間では「当局は02年日韓W杯招致に絡む疑惑も解明しようとしているのでは」という声が出ている。日本と韓国が開催地に立候補していた02年W杯は、1996年6月1日に「共催」という決定がFIFA理事会から下された。当初は日本が有利と言われながらも、理事会内部の勢力争いから韓国を推す声が強まったことが影響し、日本にとっては不本意な決定となった。

 この裏で暗躍していたとされるのが鄭氏。それだけに、当局は「02年W杯疑惑」の解明も狙っているのかもしれない。前代未聞の汚職事件はまだまだ波紋を広げそうだ。