2020年東京五輪エンブレムのパクリ騒動をほうふつとさせる事件が、サッカー界でも起きていた。

 前回の東京五輪が行われた1964年に創設されたルーマニア2部オツェルル・ガラツィは昨年、創設50周年を迎え、その記念事業としてエンブレムを一新。だがその新エンブレムが、あの世界的なビッグクラブであるバルセロナ(スペイン)と酷似していることが発覚した。

 ガラツィは今季から2部に降格しているが、11年に国内1部リーグを制したことがあり、その翌シーズンにはチャンピオンズリーグに出場した過去がある。当然、今回の記念事業もクラブだけではなく、国内で大きな話題となった。

 ところが、それから1年が経過した今月、バルセロナ側からエンブレムの輪郭やデザインが自クラブのものとそっくりとの指摘を受けた。変更がなければ、何らかの法的手段も検討していると通告されたからガラツィ側も大慌て。即座にクラブ幹部は対応に追われた。

 その後のガラツィ側の態度は潔かった。「私たちのクラブのロゴは、バルセロナのものと同一だ。これはコピペであり、ミス。だから我々はロゴを変更する。チャンピオンズリーグを戦い、リーグ戦とスーパーカップを制した時のロゴに戻すことになるだろう」とあっさり模倣を認め、使用取りやめを宣言。すぐに以前のロゴに戻した。各方面から“パクリ”を指摘されながらも、しばらくの間、無視を決め込んだ東京五輪大会組織委員会や某デザイナーとは大違いだ。

 バルセロナのような強豪クラブへのあこがれはわかるが、エンブレムをパクるのは禁じ手。デザイナーはどんなつもりで制作したのか気になるところだ。