日本サッカー協会は1日、ロシアW杯アジア2次予選シリア戦(8日、オマーン)と国際親善試合イラン戦(13日、テヘラン)に臨む日本代表メンバー23人を発表した。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)はU―22代表のFW南野拓実(20=ザルツブルク)を抜てき。新戦力で課題の得点力不足の解消を狙うが、手倉森ジャパンのリオ五輪出場に向けては不安が増している。

 南野拓実は所属のザルツブルク(オーストリア)で公式戦8得点を挙げる活躍を見せており、ハリルホジッチ監督も「現代フットボールに適応できるアタッカー。左も右もできるし、ボールのないところの動きも面白い。常に得点を取る、取らせるところにいる」と高く評価した。

 さらには「数年後、ものすごく効果的な選手になる。今のところゴール前の効率性というところで我々はまだハイパフォーマンスになっていないので、彼が必要。彼は20歳。私はやはり若い世代を信頼して使いたい」と課題の得点力不足解消への“切り札”とまで位置づけている。となれば、今回の活躍次第で指揮官がA代表定着を決断してもおかしくない。

 ロシアW杯に向けて南野がA代表で存在感を発揮するのは歓迎すべきこと。しかし、来年1月にリオ五輪アジア最終予選(カタール)を控えるU―22代表を考えると喜んでばかりはいられない。すでに本紙でも伝えたが、A代表定着ならザルツブルク側がケガなどを懸念し、国際Aマッチデー以外に行われるリオ五輪最終予選での招集を拒否する可能性が高いのだ。

 ハリル流の南野抜てきも五輪出場を目指すU―22代表にとっては大きな戦力ダウンになる。日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長(48)は「(A代表とU―22代表の)どちらになるかは答えられないが、両方やるのは負担が大きい」と話しており、来年1月の五輪最終予選前までには一本化する見込み。南野のA代表専念の方針が決まればリオの舞台は遠のくばかりだが、果たして…。