国際サッカー連盟(FIFA)がさらなる激震に見舞われそうだ。FIFAの汚職事件でスイス検察当局は25日、横領などの疑いでゼップ・ブラッター会長(79)の捜査を開始し、事情聴取したと発表した。警察と合同でFIFA本部の家宅捜索を実施し、データなどを押収した。


 5月に表面化したサッカー界最高機関の汚職事件は、米司法当局の捜査でFIFA幹部ら14人が起訴され、元幹部ら4人が有罪判決を受けている。この騒動の責任を取る形で6月に辞意を表明したブラッター会長は、事件への関与を一貫して否定していた。スイス当局の発表によると、2005年9月にカリブ海サッカー連盟と交わした契約に関し、ブラッター会長に背任行為の可能性が浮上。また、同会長が11年2月に欧州サッカー連盟(UEFA)会長のミシェル・プラティニ氏(60)にFIFAの資金200万スイスフラン(2億4700万円)を不法に支払った疑いがあるという。


 新たに疑惑が浮上し、事情聴取も受けたプラティニ氏は次期FIFA会長の大本命。来年2月予定の会長選挙には元日本代表監督のジーコ氏(62)、元FIFA副会長の鄭夢準氏(63)らが出馬の意向を固めている。そんな中で、アジアサッカー連盟(AFC)のサルマン会長をはじめ、世界的にもプラティニ氏“推し”が広がっていただけに、新会長をめぐる争いも混迷は必至だろう。


 日本サッカー協会の副会長でFIFA理事の田嶋幸三氏(57)は今回の捜査について「驚いている。非常に残念だが、うみを出し切らないといけない。われわれ理事にはFIFAをどうするかという責任がある」と話したが、今後も紛糾は避けられず、混乱は続きそうだ。