日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)の強引要求に、Jリーグの昨季3冠王者が悲鳴を上げている。指揮官は代表強化への協力を求め、Jリーグの村井満チェアマン(56)に日程改善などを直訴した。Jリーグ側は提示された“ハリル案”について協議を重ねているが、ハリルジャパン最大派閥のJ1G大阪が戸惑いを隠せないでいるのだ。

 これまでハリルホジッチ監督は代表の活動期間が短いことに反発し、Jリーグの日程への批判を繰り返してきた。最下位に沈んだ8月の東アジアカップ(中国)後には、村井チェアマンに代表戦前のリーグ戦の土曜開催、ミニ合宿の定期化などを要望。「我々が良いと思うアイデアを伝えた。今回は控えめに言った」と今後も注文を続ける構えだ。

 Jリーグ側は実行委員会などで協議を重ねており、10月中には“ハリル案”を反映させた来季のスケジュールをまとめる予定。Jリーグ側の結論が注目されるなか、代表優先を押しつけるような手法にはJクラブ幹部から「なんでもかんでもできるわけじゃない」と反発の声も出ている。

 特に困惑しているのがG大阪だ。野呂輝久社長(61)は代表への協力姿勢に変わりはないとした上で、こう訴える。

「うちは多くの選手を代表に出しているし、影響は小さくない。実際に代表に選手を出すクラブは限られているし、当事者意識が薄いところ(クラブ)もある。できることとできないことがあるから、みんなで真剣に考えないと」

 ハリルホジッチ監督は昨季3冠王者のG大阪から多くの選手を抜てき。

 9月のW杯アジア2次予選ではGK東口順昭(29)、DF丹羽大輝(29)、DF米倉恒貴(27)、FW宇佐美貴史(23)と最多4人を招集。東アジアカップではDF藤春広輝(26)とFW倉田秋(26)も選出され、予備登録にもMF今野泰幸(32)とMF大森晃太郎(23)とハリルジャパンの最大勢力となっている。

 もちろん代表入りは選手にとって栄誉だが、これだけの人数が代表に関わると、クラブとしてはさすがにチーム運営が厳しくなる。

 代表の活動日数が増えればクラブでの練習時間が減り、選手の体調管理も難しくなる。G大阪にとっては死活問題で、Jリーグ全体が深い議論もなくハリルホジッチ監督の要求を“丸のみ”することに危機感を抱くのだ。

 選手層の厚さゆえの悩みとはいえ“ハリル対J”の最大の被害者と言えそうだ。