ついに“武藤論争”が決着しそうだ。“じゃないほう”として知名度アップに成功したJ1浦和のFW武藤雄樹(26)だが、なぜか本家の日本代表FW武藤嘉紀(23=マインツ)に対し、謝罪の念を抱いているという。武藤雄は流通経済大から2011年にJ1仙台入りしてから4年間でわずか6得点だったが、今季加入した浦和では別人のように得点を量産。東アジアカップ(中国・武漢)で日本代表に初選出されると、代表初ゴールを含む2ゴールでまだ1得点の武藤嘉を抜いた。

 もはや“じゃないほう”とは言いにくい状況だが、そもそも武藤雄が4月の横浜M戦で移籍後初ゴールを決めた際に「『じゃないほうの武藤、やりました』と書いといてください」とコメントしたことがきっかけ。同じ名字ですでに大ブレークしていた武藤嘉を利用して、自身のアピールを狙ったものだった。

 ところが、武藤雄も本家に負けない快進撃を見せ、広く認知されると今度は“じゃないほう”という言葉ばかりがクローズアップされた。これに武藤雄は「(じゃないほうは)もっと自分のことを知ってもらうために僕から言いだしたけど、思った以上に広まってしまった。武藤(嘉紀)君を使ってしまって悪かったかなと思います」。

 決して武藤嘉を巻き込むつもりはなかった。だが、結果として常に比較されるような構図を作り出してしまったことに後ろめたさも感じており、今になって軽率な発言を猛反省している。今後は武藤雄は“じゃないほう”ではなく華麗なプレーでアピールしていくという。

 現在は日本代表を外れているが、いずれはハリルジャパンに定着し、武藤嘉を押しのけて定位置を確保すれば“本家”と言われる可能性もある。武藤雄は「それはどっちでもいいです。武藤(嘉紀)君は海外に行っているし、ライバル視しているわけではないですよ」と無欲を強調した。