来年のリオ五輪出場を目指して京都市内で合宿中のU―22日本代表は26日、J2京都と練習試合を行い、1―2で敗れた。視察に訪れた日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)が“ダメ出し”するほどふがいない内容。来年1月の五輪アジア最終予選(カタール)に向けて大きな不安を残したが、現状を打破するため、U―22代表イレブンに“カズ魂”が注入されるという。

 A代表でも頭角を現したMF遠藤航(22=湘南)ら主力が合宿に参加していないとはいえ、J2で下位に沈む京都に単純な連係ミスから得点を許し、絶好機ではシュートを外しまくった。2点ビハインドで迎えた後半43分に、1点を返すのがやっとだった。

 あまりにも低調な内容に、視察したハリルホジッチ監督は不満顔。「良いチームにするにはもっとトレーニングをしていかないといけない。このメンバーのほとんどが先発としてJリーグの試合に出ていない。そうなると彼らのキャリアをしっかりするのは難しい。この年代こそたくさんプレーしないといけない」とまくし立てた。

 改めて五輪世代の“弱体”ぶりが浮き彫りになったが、選手個々の強化は所属クラブの方針もあるだけに、代表で解決できる問題ではない。しかも招集日数が限られており、制約も多い。そこで現場首脳陣は練習以外に様々な取り組みを行い、強化をもくろむ。25日に京都市内の妙心寺で行った座禅トレーニングも、その一環だった。

 次の一手もある。歴代の日本代表レジェンドに修羅場をくぐり抜けた体験談を披露してもらい、その魂を若手イレブンに伝授してもらうことだ。日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長(48)は「やればいいというものではないが、タイミングや内容とかいろいろな条件が合えば、話をしてもらうことを考えている」と明かした。

 人選に関しては、6月に日本協会の技術委員に就任した元代表MF山口素弘氏(46)や、昨年U―19日本代表イレブンに“ゴン魂”を注入した同FW中山雅史氏(47)が候補に挙がる。さらにキング・カズこと元日本代表FW三浦知良(48=J2横浜FC)も浮上している。30年来の親交があるという霜田委員長はかねて「カズには今後、協力を求めるかもしれないとは伝えてある」とし、カズも「自分にできることがあれば、サポートしたい」と話していた。

 現時点では、Jリーグがシーズンオフとなる12月中の実施を検討している。カズは豊富な海外経験を持ち、日本代表のエースとして数々の苦難を乗り越えてきた。キングの哲学は、危機的状況にあるU―22代表イレブンの貴重な財産になるに違いない。