【中国・武漢9日発】サッカー日本代表は、東アジアカップ最終戦で中国と1―1で引き分けて通算成績1敗2分けとなり、同大会初の最下位に終わった。MF武藤雄樹(26=浦和)のゴールで追いつくのが精一杯だった選手たちは手応えをつかむどころか、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)の無策ぶりばかりが際立ち、ほとんど収穫のない大会となってしまった。

 試合後のハリルホジッチ監督の口から出た言葉は、またも言い訳だった。

「いい試合をしたと思う。徐々に向上している。フィジカル的にも、フレッシュな状態で2~3日前に現地に入っていれば全ての試合に勝てたと思う」

 Jリーグの過密日程を縫って行われる大会だったため、準備期間の短さから厳しい戦いとなるのは予想されていた。それを踏まえたうえでの戦いだったが、現地入りしてからも事あるごとに“ボヤキ”を繰り返した。

 揚げ句の果てに出たのが「例えば34歳、35歳の人を連れて行ったらリスクはないかもしれない。でも今回は、将来何かもたらす可能性が高い選手も連れて来た。そういうこともあって、それらに関してあまり批判はしないでほしい」という発言。実績あるベテランを連れてくれば勝てると言わんばかりで、選手選考の無責任さも露呈した。

 自身の都合が悪くなると、それを取り繕う言い訳に終始。北朝鮮戦で縦一辺倒の攻撃の疲労から守備が崩壊しても、その立て直しは選手任せ。有効な手を打つどころか、最長23分間行った練習前の青空ミーティングでは、フィジカル強化を求める発言ばかりだった。「毎回ほぼ同じ内容ですよ」と話したイレブンは1人や2人ではない。

 今大会の大きな目的だった得点力不足の課題も解消されずじまい。点取り屋の新戦力発掘という意味では、国際Aマッチデビューから出場機会2試合連続ゴールを決めた武藤雄の活躍は大きかった。とはいえ、その武藤が「1点目もそうですけど、レッズの形が出せてよかった」と話したように、得点シーンはハリルホジッチ監督の理想型とは対極。選手の所属クラブの戦術に救われた感は否めない。

 9月に控えるロシアW杯アジア2次予選カンボジア戦(同3日、埼玉)、アフガニスタン戦(同8日、イラン)に向けて悠長に構えている時間はない。今回のような“無策状態”で臨めば、6月のシンガポール戦のような失態もあり得るが、これで選手たちの危機感は増した。DF槙野智章(28=浦和)は「W杯予選はいいゲームをしたではダメ。泥くさくても不細工でもしっかり勝ち切ることが必要」。監督には頼れないとわかったことが収穫というのは、あまりにも皮肉な話だ。