【中国・武漢3日発】なでしこジャパンの佐々木則夫監督(57)が初志貫徹を強調した。1日の東アジアカップ初戦で北朝鮮に2―4と完敗したなでしこは、4日に因縁の韓国戦を迎える。大会前には初戦で敗れれば選手の入れ替えを行わず、4日の韓国戦と8日の中国戦をベストメンバーで勝ちにいく考えを示していた指揮官だが、そうした方針を修正。2016年リオ五輪に向けて、あくまで若手の底上げに力を入れる構えだ。

 大事な大会初戦を落とし、いきなり苦しいチームマネジメントを求められている佐々木監督。来年2月29日開幕のリオ五輪アジア最終予選(大阪)に向けたチームの底上げのため、今大会で新戦力の発掘を目指す一方で、2年前の韓国大会で失った東アジア女王のタイトルも奪還しなければならない。そんな板挟みのなか、指揮官は3日の練習後「一人でも多くピッチに立たせたい。若い選手には一戦一戦が経験になってくる。試合に出て気づいて修正することもあるし、若さゆえの成長度もある」と若手の育成にこだわる考えを示した。

 2011年ドイツW杯優勝以降、メンバーが固定化するなかで、あえて多くの若手を連れてきた。成長にはやはり経験が必要不可欠。初戦から大幅に先発メンバーを入れ替えることで、チーム内の競争を活性化させる。

 そんな指揮官の考えにFW高瀬愛実(24=INAC神戸)も同調する。「(若手は)アンダー(年齢別代表)で結果を残してきた選手たちなので意識は高い。心配しなくていい」。あとは経験値だけを増やせば代表定着も可能というわけだ。

 高瀬は右ヒザのケガでカナダ女子W杯のメンバー入りはかなわなかったが、代表57試合9ゴールで今回メンバー随一の実績を持つ。それだけに「ピッチの中で話し合いながら先輩たちに教えてもらったことや、やってきた知識だったり、こういう時はこうしたほうがいいというような選択肢を増やすような話はしている」。自身の見聞を若手のために惜しみなく還元しているという。

 なでしこジャパンの最重要課題と言える世代交代は、経験豊富な選手たちの後押しがなくては進まない。北朝鮮戦は後半アディショナルタイムの出場のみにとどまったMF猶本光(21=浦和)も「球際を激しくいきたい」と闘志を燃やす。指揮官の思いに対し、選手たちはどんな答えを出すのか。