なでしこジャパンは“もう一つの悩み”を解消できるのか。東アジアカップ(8月1日~、中国・武漢)に向けて27日から合宿をスタートさせたが、今回はカナダ女子W杯の主力組が不在。新戦力の発掘とチーム力の底上げをテーマに掲げる佐々木則夫監督(57)は、MF宮間あや(30=岡山湯郷)に代わる新主将探しも本格的に進めている。

 今回の東アジアカップは海外組やベテラン勢の招集を見送り、佐々木監督が「チャレンジなでしこ」と命名したメンバー編成。最大目標は優勝とする一方で、指揮官は来年2月29日開幕のリオ五輪アジア最終予選に向けた新戦力の台頭を期待している。

 だが、今回はもう一つの重大テーマがある。協会関係者は「監督は次のキャプテンをどうするのかを考えている。東アジアカップで何かを決めるというわけではなさそうだけど、一つの選考材料にはするはずだ」と佐々木監督が新主将探しに着手していることを明かした。

 2011年ドイツW杯で優勝し、直後のロンドン五輪予選を勝ち抜いた佐々木監督は、ロンドン五輪イヤーとなった12年1月の合宿で主将をMF澤穂希(36=INAC神戸)から宮間に代えた。大舞台を前にした主将交代劇にはリスクもあったが、それ以上に「チームをもう一段階引き上げるためには必要なこと」と考え、行動に移した。

 宮間はそこから約3年半、主将としてチームをけん引。抜群のキャプテンシーを発揮してきたが、宮間を含めた選手たちと佐々木監督の間には戦術面などで溝もでき始めた。それだけに、指揮官は今が主将交代のタイミングと見ている。

 佐々木監督が考える新主将のイメージは2つ。まずは、カナダW杯組の主力で、宮間の次の世代の選手。そしてもう一つが、既存勢力ではない新世代の選手だ。

 前者の候補はFW大儀見優季(28=ボルフスブルク)やMF阪口夢穂(27=日テレ)。澤や宮間がつくった流れを理解している強みがある半面、監督との関係が劇的に改善するかは微妙だ。後者は大胆な世代交代をするうえでは効果的だが、なでしこ特有の粘りが失われ、淡泊なチームになる危険性もある。どちらにしても一長一短があるだけに、佐々木監督は慎重に選考を進めている。

 まずは東アジアカップで誰を主将にするのかだが、合宿初日の時点では「候補は何人かいる。コミュニケーションを図りながら試合までに決めたい」と話すにとどめた。所属チームで主将経験があり、ドイツW杯、ロンドン五輪のメンバーだったFW高瀬愛実(24=INAC神戸)が有力だが、世代交代を視野に入れてU―20女子W杯銅メダルの立役者となったMF柴田華絵(23=浦和)、次期エースMF京川舞(21=INAC神戸)を抜てきすることも考えられる。

 宮間の後継者探しは、なでしこがステップアップするために通らなくてはならない道。東アジアカップでどんな答えが見つかるのか。