“代役”はいくらでもいるぞ――。東アジアカップ(8月、中国・武漢)に臨む日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)は予備登録メンバーに、これまでとは一転してベテランを多数リストアップ。その裏には、欧州組主力のふがいない現状があった。

 6月から始まったW杯アジア2次予選。ハリルジャパンはホームでの初戦で格下のシンガポールにまさかのスコアレスドローといきなりつまずいた。この背景にあるのは欧州組の不振だ。昨季後半から調子の上がらないFW本田圭佑(29)は大補強を続けるACミランで居場所がない。DF長友佑都(28=インテル)も放出要員で、昨季ほとんど出場機会がなかったGK川島永嗣(32=スタンダール)は“浪人危機”にあり、MF香川真司(26=ドルトムント)も代表になると精彩を欠き続けている。

 そんななか、国内組で臨む東アジアカップでは新戦力発掘を加速させるはずだったが、指揮官はFW大久保嘉人(33=川崎)やFW豊田陽平(30=鳥栖)ら経験者を数多く選出。「予選が始まったらいつまでも悠長に構えてはいられない。もともと柔軟性のある監督だし、欧州組がダメなら“いつでも代えるぞ”という考えがあるのでは」とJクラブ関係者は指摘。

 歴戦の指揮官らしく欧州組にも厳しい姿勢を打ち出すが、そうしたなかで新たな“柱”と一目置くのがMF高萩洋次郎(28=FCソウル)だ。高い技術と卓越したゲームメーク能力を高く評価ししており、高萩がウエスタンシドニーに在籍した当時から「オーストラリアでプレーする選手もチェックしている」と言及したこともある。

 得点力不足に悩む攻撃陣の起爆剤に期待している一方、本田ら欧州組主力は尻に火がついた格好。まもなく開幕する欧州新シーズンでハリルホジッチ監督の不安を打ち消す活躍を見せられるか。