【サッカー女子W杯】なでしこ川澄 OG誘発の神クロスを予告していた

2015年07月04日 10時00分

神クロスを予告していた川澄

 1日(日本時間2日)にエドモントンで行われたカナダ女子W杯準決勝で、なでしこジャパンはイングランドに劇的な勝利を挙げ、2大会連続の決勝進出を決めた。MF川澄奈穂美(29=INAC神戸)が試合終了間際の後半47分に相手のオウンゴールを誘発して2―1の勝利に貢献。今大会に向けてなかなか調子が上がらなかったが、ここ一番で「シンデレラガール」の輝きを取り戻した。この裏では何があったのか。本紙だけが知る完全復活への“激論秘話”をお届けする。

 1―1のまま延長戦突入と思われた後半アディショナルタイム2分、自陣のDF熊谷紗希(24=リヨン)からパスを受けた右サイドの川澄のプレーが勝負を分けた。相手の陣形が揃う前に、ゴールに向かって走るFW大儀見優季(27=ボルフスブルク)にグラウンダーのアーリークロス。懸命に戻ったイングランドDFバセットがこれをクリアしたが、ボールはクロスバーに当たってゴールに吸い込まれた。

 相手のオウンゴールが決勝点という劇的な幕切れ。川澄は「全員で結果を出せたことはうれしい」とチーム一丸での勝利を喜んだ。4年前のドイツW杯準決勝スウェーデン戦では2得点を挙げ「シンデレラガール」となったが、今大会前は動きに精彩を欠いてレギュラーを剥奪された。そのうっぷんを晴らす活躍だった。

 とはいえ、川澄自身に「不振」という認識はなかった。W杯本番前、最後の親善試合となった5月28日のイタリア戦(長野)の後、本紙の直撃に対し珍しく強い口調で反論していたのだ。

 ――ニュージーランド戦(同24日、丸亀)から2試合続けて前半だけで交代となった

 川澄:悔しいですね。持ち味が出せなかった。

 ――調子が悪いのか

 川澄:違います! チームとしての狙いと私の狙いが少しずれているだけ。不調とは思っていません。

 ――だが、走力がまったく発揮できていない。縦に走れていないし、敵陣深くまでボールを持ち込めない

 川澄:私が縦に走ってコーナー近くまで抜けてしまうと、攻撃が詰まる。私の狙いは、サイドにいて相手陣の中間くらいから右のポスト付近に向かってドリブルを仕掛けるか、その位置に速いパスを出すことなんです。

 ――まだそのプレーは出ていない

 川澄:本番まで時間はあります。うまくいけばゴールは取れます。本番を楽しみにしていてください。

 川澄の意図するプレーは縦への突破ではなく、ゴールに向かって斜めに入っていくドリブルやパス。実は準々決勝オーストラリア戦の後半39分に復活の“兆候”は見えていた。右サイドからの川澄のアーリークロスに大儀見がシュートにいったが失敗。このプレーで大儀見は「あそこから(クロスが)入ってきたのは大きい」と手応えをつかんでいる。川澄の“有言実行”は時間の問題だったわけだ。

 佐々木則夫監督(57)も「(オウンゴールした)あの選手がいなくても大儀見が決めていた。川澄と大儀見のゴールでもあったと思う」と称賛した。なでしこにとって待望だったシンデレラガールの復活。2連覇に向けて役者は揃った。