なでしこW杯決勝Tまでに常識破りの改造へ

2015年06月19日 10時00分

待望の大会初ゴールを決めた大儀見(手前、ロイター=USA TODAY Sports)

【カナダ・バンクーバー発】いよいよ最後のスパルタ合宿が始まる。サッカー・カナダ女子W杯1次リーグC組を3連勝で1位通過したなでしこジャパンは、決勝トーナメント1回戦(23日=日本時間24日)まで中6日という有利な日程を得た。このチャンスを逃す手はない。佐々木則夫監督(57)は最後の強化プランを発動。ここまでの実績を無視した“シャッフル”を行い、連覇に向けてチームを再構築する考えだ。

 

 16日(同17日)のエクアドル戦ではエースFW大儀見優季(27=ボルフスブルク)に待望の大会初ゴールが生まれ、1―0と勝利。初出場のDF北原佳奈(26=新潟)ら急造DF陣もエクアドルの攻撃を完封した。最初の目標だった「1次リーグ全勝」を達成し、佐々木監督も「選手たちはよくやってくれたと思う」と安堵の表情を浮かべた。

 

 とはいえ、1次リーグ3試合で得点はわずか4点。ロシアW杯アジア2次予選シンガポール戦(16日)で屈辱のスコアレスドローに終わったハリルジャパン同様、なでしこジャパンの決定力不足も深刻だ。いずれも1点差勝利という内容は、誰よりも選手たちが納得していない。MF宮間あや(30=岡山湯郷)が「点を取れなくて一番苦しんでいるのは私たち。相手の隙を突ききれていない」といえば、大儀見も「攻撃のスイッチが入らない」と首をひねる。

 

 MF安藤梢(32=フランクフルト)が初戦のスイス戦で戦線離脱してから攻撃陣の歯車は狂った。それは指揮官の悩みのタネでもある。「澤穂希を含めた前線の5人が今後の軸になるのか」という質問を受けると「ならない」と即答。「全員がピッチに立ったことで、これから積み上げていきたい。1週間でどのメンバーを軸にするかを考えたい」と先発をいったん白紙に戻す考えを示した。

 

 そこで重要な意味を持つのが決勝T1回戦までの6日間だ。実は、佐々木監督は大会前、本紙の取材に対し「仮に1次リーグを1位突破できれば、そこからの1週間が本当の勝負になると思う。そこで(チームを)つくるつもりで」と、戦術とメンバーの練り直しを予告していたのだ。チームは5月中旬から続く長期合宿の真っただ中だが、その中でさらに“ミニキャンプ”を張る格好で、練習の強度も少し上げて「戦い抜ける選手」を抽出するのが狙いだ。

 

 試合間隔が短い国際大会を勝ち抜くために、普通なら選手のコンディション面を考慮してハードな練習は避ける。だが、エクアドル戦で登録メンバー全員が出場を果たし、平等な目でイレブンを比較できる態勢を整えたことで、指揮官はハードな練習から選手を選び直すという“常識破り”に挑む覚悟ができた。

 

 中でも左ヒザ故障から復帰したFW岩渕真奈(22=バイエルン・ミュンヘン)がポイントになる。これまでのスーパーサブではなく、大儀見との先発2トップ構想が加速。岩渕が「大儀見さんは私の特徴をわかってくれているし、いい距離感でプレーできる」と言えば、大儀見も「岩渕は動きだしが早く、どこに入っていくかもわかるから早い判断で攻撃できる。ドリブルで持つこともできる」と期待感に満ちている。

 

 決勝T1回戦までの猛練習で完全復活を遂げられるのか。連覇に向けて“名将”佐々木監督の腕の見せどころだ。