【前園真聖 ゾノの焦点】ロシアW杯アジア2次予選シンガポール戦を0―0で引き分けたハリルジャパンですが、その戦いは厳しいものでした。相手が引いて守るのは最初から分かっていたことなので、カウンター戦術を貫いたハリルホジッチ監督の読み間違えとの意見が出ていますが、選手にも大きな責任があるはずです。

 FW本田圭佑(29=ACミラン)やMF香川真司(26=ドルトムント)、FW岡崎慎司(29=マインツ)、MF長谷部誠(31=ボルフスブルク)ら主力は、これまでもW杯予選を経験しています。どういう試合展開になるか身をもってわかっていながら、シンガポール守備陣を崩せずに単調な攻撃を繰り返しました。日本が序盤から攻め込んでいたので「いつかゴールも入る」との甘い考えがあったのかもしれません。

 本来なら、経験者が率先して攻撃のリズムを変え、ワンタッチパスで抜け出したり、サイドを広く使ったりと、さまざま戦い方を指示しなければなりません。もちろんシンガポールのデキが予想以上に良かったですが、海外でプレーする選手が多い割には、かなり物足りなさを感じます。

 さらに言わせてもらえば、途中から投入された若手のFW武藤嘉紀(22=FC東京)とFW原口元気(24=ヘルタ)はもっと積極的に仕掛けるべきでした。ドリブラーの2人を起用したハリルホジッチ監督の意図は、密集するゴール前に攻め込んで相手のファウルを誘発するためだったはずです。

 それができなかったのは残念ですし、今回、選出されなかったベテランFW大久保嘉人(33=川崎)の待望論が出てきても仕方ないところ。本人もそう思っているでしょう。(元日本代表MF)