屈辱ドロー ハリル監督が犯した“4つの失態”

2015年06月18日 06時00分

ヒザに手をやり、ガックリとするハリルホジッチ監督。ショックは大きい

 サッカー日本代表はロシアW杯アジア2次予選の初戦となるシンガポール戦(16日、埼玉)で0―0と痛恨の引き分けに終わった。引いて守る格下の相手を崩せずに、ホームでまさかの無得点。長年の課題だった決定力不足は、ハリルジャパンでも解消されなかった。今後に向けて大きな不安を残したが、屈辱ドローの裏にはバヒド・ハリルホジッチ監督(63)が犯した“4つの失態”があった――。

 負けに等しいドローだった。FIFAランキング154位(日本は52位)と格下のシンガポール相手にホームで屈辱の無得点。エースFW本田圭佑(29=ACミラン)の7本を筆頭にチーム全体で23本のシュートを放ちながら、最後まで相手のゴールネットを揺らすことができなかった。

 試合後にはサポーターからブーイングを受けた。ハリルホジッチ監督は「私のサッカー人生で、このようなシチュエーションに陥ったことがないので、説明するのは難しい」と頭を抱えた。昨年のブラジルW杯で惨敗、今年1月のアジアカップでも準々決勝敗退に終わった日本代表の再建に向け「東欧の知将」には大きな期待が集まっていたが、一体どういうことなのか。大きな誤算となったのは“4つのハリル流”だ。

 まずは、最近の日本代表監督には珍しく厳格なルールを設けたこと。選手の行動を徹底的に管理した。合宿中の外出禁止をはじめ、これまで一部選手が自由に行っていた散歩まで原則中止に。また食事後、個々の部屋へ戻る時間を指定し、選手同士の部屋の行き来も中止とした。ある選手は「(宿舎でも)気を抜けませんね」とポツリ。疲労をとるはずの宿舎でストレスをため込んでしまえば、実力を100%発揮するのは難しい。

 さらに欧州組には国内組より1週間早く合宿に突入させ、ハードトレーニングを課した影響も見逃せない。シーズン終了直後ながら走り込みを中心としたメニューにイレブンは「キツい」を連発。実際、MF清武弘嗣(25=ハノーバー)は練習中に右中足骨を骨折。DF長友佑都(28=インテル)も左臀部の張りを訴えて先発を回避した。日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長(48)は「(影響は)ないです」と否定するが、コンディションが整わず動きが鈍い選手がいたのは事実だ。

 それだけではない。今回の選手選考にも疑問が残る。この日は3人の交代枠を前線の選手で使い切ったが、いずれも不発。大仁邦弥会長(70)は「あれだけゴール前を固められると難しい。それをいかに崩すかだが、背の高いのがいないですからね」と指摘。長身FW豊田陽平(30=鳥栖)がいれば、展開が変わっていた可能性は十分ある。また、Jリーグで好調なFW大久保嘉人(33=川崎)が持ち味の勝負強さを発揮していれば…これほどぶざまな姿を見せずに済んだかもしれない。

 極め付きはMF香川真司(26=ドルトムント)の重用だ。指揮官は背番号10を高く評価し、攻撃の要となるトップ下で起用した。ところが、不振の続く香川はハリルジャパンでも復調ならず、期待に応えられなかった。本人も「結果に関しては悔しい。シュートチャンスはあったので決め切らないと。あとはペナルティーエリア内でもっと決定的なチャンスを個の力で生み出さないといけない」と厳しい表情で語った。

 まだ、ロシアW杯2次予選は1試合が終わっただけ。指揮官は「とにかく全部監督のせい。非難したければ私にしていただきたい。選手は守る。私が少しプレッシャーをかけすぎたのかもしれない」と語ったが、圧倒的に攻め込みながら1点も奪えない選手たちの責任も大きい。先発11人中、欧州クラブでプレー経験がある選手が9人もいながらこの結果では…。

 1998年フランスW杯出場以降、予選の初戦で勝てなかったのは初。つまり、日本代表はW杯予選初戦で白星を逃すと本大会に出場していない。“黒データ”通りなら最悪の事態も待っている。このまま“ハリル流”を貫くのか、それとも軌道修正するのか。東欧の知将はいきなり岐路に立たされた。