本田「ボスキャラ返上」「過激発言封印」の理由

2015年06月13日 10時00分

ゴールを決めた槙野(右)を祝福する本田

 日本代表は11日、国際親善試合イラク戦に4―0と快勝し、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は43年ぶりとなる日本代表監督就任から3連勝を飾った。ロシアW杯アジア2次予選シンガポール戦(16日、埼玉)に向け弾みをつけた試合で、先制ゴールを叩き出したFW本田圭佑(28=ACミラン)がピッチ外で大変身。これまで繰り返してきた“過激発言”の封印を決意したが、これには切実な裏事情もあった。

 前半5分にMF柴崎岳(23)のロングパスから抜け出した本田が左足で先制ゴールを決めると、これを皮切りに日本は怒とうのゴールラッシュでイラクを粉砕した。「タイミング良くボールが出たので、決めるだけだった。今日は良かった」と自身もチームも満点のパフォーマンスに充実の表情を浮かべた。

 日本代表では3月27日のチュニジア戦でゴールを決めたものの、ACミランでは昨年10月から7か月以上も無得点のままシーズンを終えたとあって、誰よりもゴールを渇望していた背番号4。復活のゴールで改めて強烈な存在感を見せつけた。

 だが、その一方である決意をしていた。本田と親しい関係者はこう明かす。「圭佑はハリルホジッチ監督のチームになってから『もう波風が立つようなことは言わない。その必要はなくなった』と言っている。いろいろな面で選手に厳しい要求をする監督だから、そういう役回りは無用と判断したのではないか」

 本田は特別扱いされてきたザックジャパン時代に度重なる“舌禍事件”を起こしてきた。2013年8月には「Jリーグでやってる人がどうあがいても勝てない部分」と国内組を糾弾。同9月には「デカくて足元がうまくないタイプとか、足元がうまくても前で数字(得点)を挙げられないタイプとか」とFWハーフナー・マイク(28=ヘルシンキ)とFW前田遼一(33=FC東京)を批判した。

 本田は刺激的な発言をすることで選手の危機意識を高め、チーム力をアップしたい意図があり、あえて“悪者”を演じていた。だが、3月に就任した新指揮官は選手に辛辣な言葉を浴びせて指導するタイプ。本田が意識喚起する必要はなくなったため、今後は自身のプレーに集中。優等生としてチームに貢献する決断をしたのだ。

 さらに、変化せざるを得ない理由もあった。ハリルジャパンでは不動のFKキッカーの座を剥奪された上、最も得意で攻撃の要となるトップ下もMF香川真司(26=ドルトムント)に固定されるなど、代表内の地位が急降下。ミランで活躍できていない現状もあり、代表で生き残るには持ち味の過激な言動もマイナスでしかないからだ。

 実際、これまで日本の絶対的な存在をバックに“オレ様”としてワガママな振る舞いや発言が目立った本田も、新体制では慎重な物言いが多い。この日も「若い選手が結果を出し始めている中で、自分たちも負けないように結果を残さないと競争には勝っていけないと感じています」と珍しく危機感を明かしていた。

 品行方正にモデルチェンジした本田は前哨戦で結果を残し、貴重な戦力であることを改めて証明。ロシアW杯に向け新たな歩みを進める。