なでしこ安藤代役に川澄が浮上しない理由

2015年06月12日 10時00分

【カナダ・バンクーバー発】安藤ショックでなでしこジャパンは一丸となれるのか。日本サッカー協会は10日、サッカー・カナダ女子W杯1次リーグ初戦のスイス戦で左足腓骨外果骨折の重傷を負ったMF安藤梢(32=フランクフルト)がチームを離脱すると発表。1―0の勝利から一夜明けたなでしこイレブンには衝撃が走ったが、安藤の代役をめぐっては大きな問題も浮上している。

 

 難敵スイスから貴重なPKをもぎ取った安藤の決死の飛び込み。なでしこのC組1位通過に大きく近づく勝ち点3につながったが、それと引き換えに大事な戦力を失った。同じ栃木県出身のDF鮫島彩(27=INAC神戸)は「小学校の時に一緒にやらせてもらって、背中を追ってきた。ケガは本人が一番つらい。どんな声をかけていいかわからない」と当惑するばかり。佐々木則夫監督(57)も「みんなは安藤の思いを受け止めて、一戦一戦戦うことに尽きると思う」と無念をにじませ、勝ち点で並ぶカメルーン戦(12日=日本時間13日、バンクーバー)を見据えた。

 

 アクシデントやハプニングがあっても、それを乗り越えて力にするのがなでしこの真骨頂。今回の安藤の離脱がチームの結束力を高めることになるのは間違いないが、戦力的に見ると台所事情はかなり苦しくなった。

 

 一番の注目は安藤の代役。佐々木監督は明言を避けているものの、安藤と交代で出場したFW菅沢優衣香(24=千葉)をそのまま起用する案が有力だ。だが、安藤のように足でかき回すタイプではない菅沢の投入で「自分のやることが多くなった」というエースFW大儀見優季(27=ボルフスブルク)の持ち味は半減した。

 

 大儀見の決定力を生かすなら、スイス戦で右MFとして出場したFW大野忍(31=INAC神戸)を2トップの一角に据え、空いた右MFに川澄奈穂美(29=INAC神戸)を入れるのがセオリー。だが、現状はそんな簡単な話ではない。

 

 あるなでしこOGは「今回の川澄は明らかに不調。周りとかみ合っていないし、驚異のスタミナを発揮した昨年のアジアカップほど走れていない。しかも、川澄のところにボールが入ったら、相手はそこを狙い撃ちしてボールを奪う。なでしこの弱点となっていて、それがライバル国にも知られている以上、今の川澄は使いにくい」と指摘する。

 

 4年前のドイツ女子W杯で頭角を現し、「シンデレラガール」として一躍人気者となった川澄だが、今回は日本で行われた親善試合2試合とも前半だけの出場にとどまるなど、調子が上がってこない。今のままでは先発はおろか、スーパーサブとして試合に出場することすら危うい。指揮官は川澄よりもMF永里亜紗乃(26=ポツダム)の起用や、鮫島の攻撃的MFへの抜てきを優先する選択肢も持っている。

 

 川澄本人は安藤の離脱を受け、自身のブログで「あんち(安藤のニックネーム)がなでしこの仲間であることに変わりはないです。辛い思いをしている選手の気持ちを忘れずに最後まで戦いたいと思います!」とつづったが、前回大会の輝きを取り戻し、なでしこに活力を与えられるかは微妙だ。