なでしこ佐々木監督が恐れる“スペインの悪夢”

2015年06月08日 16時00分

 サッカーのカナダ女子W杯が6日(日本時間7日)に開幕し、なでしこジャパンは8日午後7時(同9日午前11時)に1次リーグ初戦のスイス戦を迎える。連覇に向けて期待が高まっているが、佐々木則夫監督(57)は“悪夢の再現”の恐怖に襲われていることを本紙に告白した。前回女王にもかかわらず下馬評は低く、日本に不利なピッチ状態も判明。この逆境をどう乗り越えるのか――。

 

 監督というのは何かと心配性な職業なのか。スイス戦から逆算し、国内での合宿と親善試合2試合を消化して手応えをつかんだはずの佐々木監督だが、どうしても思い出してしまうシーンがあるという。

 

「あれを見ちゃってからは“自分たちも、あんなことになったらどうしよう”と心配になる時があるんだよ。置かれた状況はあまり変わらないだろ。だから“ウチとはこういうところが違う”というものをできるだけ探している。まあ、ただの気休めだけど」

 

 昨年6月、ブラジルで行われた男子のW杯。優勝候補にも挙げられた2010年南アフリカ大会覇者のスペインが、1次リーグ初戦のオランダ戦で1―5と惨敗し、2戦目のチリ戦も0―2で敗れ、最終戦を残して敗退が決まった。世界中に衝撃を与えたこの結果は、11年度の女子世界年間最優秀監督賞を受賞した名将をも大いに動揺させた。

 

 スペインの王座陥落の理由は「世代交代の失敗」や「パス戦術が研究された」ことなどが挙げられた。「その2つは、どちらもなでしこにも当てはまる。だから、人ごとじゃないんだよ」。佐々木監督が世代交代を促すために多くの若手を試し、何とかチームに新しい風を入れようとしたのも、スペインの惨敗とは無関係ではなかった。

 

 結果的になでしこも劇的な世代交代はできなかったが、指揮官は腹をくくった。「こうなりゃ自分たちの長所を突き詰めるしかない」。攻守にアクションするサッカーを追求し、選手たちに一段高い要求を出した。最後の最後に代表に復帰させたMF澤穂希(36=INAC神戸)もそのコンセプトを理解し、ほぼ完璧に実践。本番直前でようやく光が見えてきた。

 

 スペインの二の舞いだけは避けたいなでしこジャパンにとって、初戦のスイス戦は今大会の流れを決める重要な一戦。佐々木監督の“嫌な予感”が当たらないことを願うばかりだ。