FC東京の日本代表FW武藤嘉紀(22)の海外移籍問題が紛糾してきた。イングランドの強豪チェルシーから正式オファーを受けながらも、ドイツのマインツ入りが有力視されている武藤は、マインツでプレーする日本代表FW岡崎慎司(29)の去就が微妙なため最終決断を迷っているという。また他の欧州クラブも強い興味を示しており、争奪戦は激化しそうだ。

 欧州クラブからオファーを受けている武藤は10日の鹿島戦後、移籍について「まだ考えていない。焦ることはない」と話してから、去就問題に関して口を閉ざしている。FC東京側も武藤の意向を尊重する構えで、立石敬之GM(45)は「当面は(去就の話は)しないと思う」と静観中だ。

 現状は武藤の決断待ちだが、ある公認資格を持つ選手代理人は「今夏に移籍するのは間違いないけど、迷っているらしい。まずはマインツの岡崎がどうなるのか。まだ来季の動向が決まっていないから。武藤はそこを気にしている」と明かし、岡崎の“去就判断”を待っているという。

 ドイツ1部リーグで2季連続となる2桁ゴールを挙げた岡崎にはボルシアMG(ドイツ)やレスター(イングランド)が獲得に興味を示し、マインツ側も移籍金を1500万ユーロ(約20億円)以上に設定している。だが、岡崎は去就について「シーズンが終わってから」と封印。来季に向けて、どんな意向を持つのかを明らかにしていない。

 こうした状況下で武藤が早々にマインツ入りを決断した場合、先輩ストライカーの去就に影響を与えかねないことを懸念する。実際に岡崎は1月にイングランド移籍が浮上した際「子供のころからの夢」と話すなど、興味を示した一方、マインツ側は武藤獲得のため、岡崎と契約延長するとも報じられた。そこで当面は岡崎の方向性が出るのを待っているわけだ。

 最終決断にはまだ時間がかかりそうな雲行きだが、武藤にはオランダ、スペイン、イタリアなど強豪クラブからの関心も高まっており、実際に複数クラブから打診があったという。今後、正式オファーに発展する可能性もあり、前出の代理人は「今後どうなるかはわからない」と話し、有力視されるマインツ以外のクラブに移籍するケースも十分にありそうだ。

 現在、優勝争いを繰り広げるJリーグ第1ステージの戦いをはじめ、欧州クラブの争奪戦は激しさを増しており、事態は混沌としている。そんな状況下で21日のドイツ紙「キッカー」は、移籍金約300万ユーロ(約4億円)、2019年までの4年契約でマインツへの移籍が確実になったと報じた。果たして武藤自身はどんな決断を下すのか。