【ドイツ・ミュンヘン12日(日本時間13日)発】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ準決勝第2戦が行われ、バルセロナ(スペイン)は敵地でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に2―3で敗れたが、2戦合計5―3で4季ぶり8回目の決勝進出を決めた。3―0で勝利した第1戦の貯金を生かし、前半のFWネイマール(23)の2得点で勝負あり。南米強力3トップ「MSN」の力で、5度目の欧州制覇に王手をかけた。

 かつてバルサを率いてCL制覇を成し遂げ、今回は古巣の打倒に燃えたバイエルンのジョゼップ・グアルディオラ監督(44)がうなだれた姿がすべてを物語っていた。大逆転を狙ったドイツ王者の心を、カウンター2発で粉砕。決勝進出の立役者となったのはバルサが誇る「MSN」トリオだった。

 0―1で迎えた前半15分、中盤まで下がってパスを受けた「M」のFWリオネル・メッシ(27)がノーマークで前線にスルーパス。相手守備ラインを簡単に抜け出した「S」のFWルイス・スアレス(28)がこれを受けると、DFの寄せに屈せず中央に折り返す。最後は「N」のネイマールがバイエルンGKマヌエル・ノイアー(29)をかわして同点ゴール。最近公式戦6試合連続得点中の絶好調男が、敵地のサポーターを黙らせた。

 さらに同29分、自陣からの浮き球のパスをメッシが頭でフリック(自分に向かってきたボールを方向を変えずにそのまま後方に流すプレー)。タイミングよく抜け出したスアレスが、左に流れていたネイマールにパスを出し、背番号11はノイアーのニアを打ち抜いた。

 バルサはこの2得点を含め、シュートはわずか5本。支配率も47%にとどまり、2戦ともバイエルンに支配率で上回られた。だが「世界一美しいパスサッカー」だけでなく、今季のバルサには敵将グアルディオラ監督も舌を巻く「世界一のカウンター」がある。アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイのエースが集ったことで、圧倒的な破壊力が身についた。

 後半、スアレスが太ももに違和感を訴えてベンチに下がったことで攻撃力は落ちた。2―3と逆転された後半終了間際にはネイマールの抜け出しからチャンスを作ったが、メッシへのラストパスが流れて得点はならなかった。それでも2戦でノイアーから5得点。世界ナンバーワンGKを攻略したネイマールは「試合にもゴールにも満足している。ロッカー室はちょっとしたお祭り騒ぎだが、僕らにはまだ最後の一歩が残っている」と喜びに浸りながらも、決勝に向けて気を引き締めた。

 昨季は7季ぶりの8強止まりで“バルサ時代の終幕”と叫ばれた。だが今季、ネガティブな声はすべて振り払った。「MSN」トリオが引っ張る“ニュー・バルサ”がCLに新たな歴史を刻む。