「世界のホンダ」の後継者が出現した。全国高校サッカー選手権決勝(10日、国立)で青森山田(青森)が4―0で大津(熊本)に圧勝して3大会ぶり3度目の優勝を飾った。その中で今大会の主役となったのが、エースMF松木玖生(くりゅう=3年)だ。元日本代表FWで本紙評論家の武田修宏氏(54)は日本の元エースMF本田圭佑(35)との共通点を指摘した上で、驚きの〝育成プラン〟を提案した。


 青森山田は怒とうの4ゴールを奪い、守備でも大津をシュート0本に完封。まさに圧倒的な実力差を見せつけて、インターハイ、プレミアリーグEASTと合わせて〝高校3冠〟の快挙を達成した。中でも強烈な存在感を見せたのがエースで主将の松木だ。2―0で迎えた後半10分に、強烈なヘディングでダメ押しとなる3点目を決めて勝利に大きく貢献した。

 1年時の選手権でも5試合に出場して4得点。すでにJ1のFC東京入りが内定してU―22日本代表に選出されるなど、大きな注目を集める中で迎えた今大会でも4得点と決定力を発揮し、堂々と主役を演じた。試合後は喜びのあまり、人目をはばからず号泣。「このチームなら勝てると思っていた。チームメートに感謝したい」と振り返った。

 武田氏は青森山田の黒田剛監督と親交があり、昨年10月にも同校を訪問。その際に松木と対面して会話を交わした縁がある。これまで松木のプレーをつぶさに見続けてきた経緯を踏まえて「フィジカルの強さやハードワーク、ゴール前への飛び出し、そしてメンタル面などは本田に似ている」と高く評価。かつての日本の絶対的エースとの共通点を挙げた。

 それはピッチ外でも同様。「練習場に行った時、松木君はすぐに駆け寄ってきてあいさつして、その日の練習内容をしっかり説明してくれた。プロは人間性が大事だが、本田もそうだった。星稜高から名古屋に入団したばかりのころ、たまたま喫茶店で会った時にすぐにあいさつをしてきた」と〝人間力〟の高さにも注目する。一方で、今後にプロの世界で飛躍するためには課題もあるという。

「技術や駆け引きの質はもっと上げないといけない。海外では18歳はチームの主力でもおかしくない。伸びしろはあるから、どれだけ高いレベルの環境で経験を積めるかがカギになる」と指摘した。そのあふれる才能をさらに磨くために、武田氏は大胆な育成プランを提案する。

「日本代表の練習に早い段階で参加させるのも一つの手ではないか。上のレベルの経験を積ませることで伸びるはず」。練習パートナーなどで森保ジャパンに〝招集〟して日本のトップレベルを体感させるというわけだ。

 日本サッカー界に新たなスター誕生となるか。松木の今後が楽しみだ。