初陣から連勝スタートを決めたサッカー日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(62)が打ち出す“国内組重視”の姿勢に、海外クラブの選手たちが戦々恐々としている。


 ハリルホジッチ監督は就任時からJリーグ所属選手の積極登用を明言。初采配となった3月27日のチュニジア戦ではJの若手を大量抜てきし、待望論のあったFW宇佐美貴史(22=G大阪)も2試合続けて起用して代表初ゴールへと導くなど有言実行の采配を見せた。


 今後の選手選考においても「まずは日本の中で良い選手を探したい。国内の試合をたくさん見に行きたい」と国内組の視察を優先する方針をはっきり提示。3日にはG大阪―名古屋戦を視察し、2得点した宇佐美らの動きに目を光らせた。


 実際、3月31日のウズベキスタン戦後に、W杯アジア2次予選の組み合わせ抽選が行われる14日前後に欧州視察へ行く考えを口にしていたが、急きょ予定を変更。日本サッカー協会関係者は「その週はまだ日本にいて、欧州に行くのはその次の週かさらに次の週になるかもしれない」と渡欧時期が後ろ倒しになる見込みで、GW前の4月末までずれ込む可能性が出てきた。これは4月にJリーグやナビスコカップ、アジアチャンピオンズリーグなどが目白押しで、1試合でも多く国内組を視察したいという指揮官の意向が影響している。


 J軽視と批判され続けたアルベルト・ザッケローニ元監督(62)の時代とはまさに隔世の感があるが、この状況に危機感を抱いているのが海外組だ。欧州クラブ所属の選手関係者は「これまでほど海外組をしっかり見なくなるのでは。そうなればボーダー上の選手は焦りも出てくるよね」と話す。“海外組”のブランドはもはや通用しないというわけだ。


 出場機会もままならない選手たちが、今後こぞって日本へ帰国する“Uターン現象”が見られるかもしれない。