17日に行われたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ第3節、E組の柏は山東(中国)に2―1と競り勝った。前半23分にMF武富孝介(24)のゴールで先制し、その後同点に追いつかれたが、後半アディショナルタイムにDF輪湖直樹(25)が執念のヘッドを叩き込み、劇的な幕切れとなった。

 これで柏はホームでの公式戦無敗記録を26試合に更新。1次リーグの前半戦を2勝1分けの勝ち点7で折り返し、不振を極める他の日本勢とは対照的な好調ぶりだ。

 今年のACLは3冠王者のG大阪や大補強の浦和が注目されたが、プレーオフから勝ち上がった柏が予想外の快進撃。この強さの秘密について、FW工藤壮人(24)は「今年のチームは誰が出ても高いパフォーマンスを見せられる。誰でもゴールを奪える場所にいて、チャンスをつくれる」と解説する。

 柏は長年のユース指導でクラブを支えてきた吉田達磨監督(40)が今季から指揮を執り、攻守に連動するパスサッカーを標ぼう。補強ではビッグネームに目もくれず、ユース時代の愛弟子の武富を湘南から呼び戻すなど自分の戦術を体現できる選手を集めた。戦力を上乗せするよりも“底上げ”を重視した。

 そのうえで多くの選手を起用する“全員レギュラー化”を断行。13日の仙台戦ではエースFWレアンドロ(30)もベンチ外とする徹底ぶりで、これがリーグ戦とACLを戦い抜く総合力の高さにつながっているのだ。

 工藤が「アジアの戦いは経験が間違いなく生きている」と語るように、こうした戦い方は2013年のACL4強の経験に裏打ちされたもの。地味でも我が道を貫く柏に、日本勢による7年ぶりの覇権奪回は託された。