日本代表のバヒド・ハリルホジッチ新監督(62)に大きな“使命”が託された。14日のFC東京―横浜M(味スタ)でJリーグを初視察し、初陣となる27日のチュニジア戦(大分)に向けてさっそく精力的な動きを見せている。「奇術師」の異名を持つ新指揮官は2018年ロシアW杯で16強を目標に掲げる一方で、地元開催の20年東京五輪でメダル獲得に向けた強化も担っていくことになった。

 14日にJリーグを視察したハリルホジッチ監督は、15日から休む間もなく都内でスタッフミーティングを開始。19日の代表メンバー発表へ向けて急ピッチで選考作業を進めている。

 就任会見では「ロシアW杯で決勝トーナメント進出」と「FIFAランクでトップ20入り」を“マニフェスト”として掲げた。加えて日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)からは「ユース育成の協力もお願いします、と話し『喜んで引き受けます』という返事をいただいた」と“特命”が出された。霜田正浩技術委員長(48)も「ユースの下の世代からフル代表に上げて選手を見たりもする」と“飛び級選出”の推進を示唆している。

 歴代の日本代表監督は2002年日韓W杯を率いたフィリップ・トルシエ氏(59)がU―23代表も指揮したが、基本的にはA代表の強化が任務。にもかかわらず異例のユース強化に乗り出すのは、協会が5年後の東京五輪を視野に入れているからだ。

「若手の指導に定評があるし、実績も残してきた。日本では10代から世界的な指導者の教えを受ける機会はほとんどないし、ものすごく貴重な場になるはず。協会がそこまで力を入れるのは当然、東京五輪を視野に入れてのことだろう」とJクラブの強化担当者は指摘。

 ハリルホジッチ監督はフランス1部レンヌ時代に登用したチェコ代表GKペトル・チェフ(32=チェルシー)をはじめ多くの若手にブレークの足がかりをつくった。アルジェリア代表を率いた昨年のブラジルW杯でも当時19歳だったMFナビル・ベンタレブ(20=トットナム)を大抜てきするなど若手育成はお手のもの。そこで協会は、地元開催の東京五輪でメダル獲得はもちろん悲願の金メダルを本気で狙うため、欧州屈指の若手育成術を持つ名将の力を借りることにしたのだ。

 ハリルホジッチ監督も「能力のある若い選手がたくさんいると聞いている。できるだけ多くの選手にチャンスを与えたい」と若手育成に意欲満々。さすがにロシアW杯で目標を達成し20年東京五輪も指揮…までは難しいだろうが、まさしく日本サッカー界の未来が託されることになる。