ハリルジャパンが歴代の日本代表監督から“徹底監視”される。サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ新監督(62)が13日に来日し、東京都内のホテルで就任会見を行った。情熱的な言葉で強化を訴えた指揮官は親交の深い元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(73)の来日を熱望したが、今後は他の代表監督経験者も次々と試合を観戦するプランが浮上。2018年ロシアW杯に向け“お目付け役”となって、日本代表の再建をバックアップしていくことになりそうだ。

 テレビカメラ20台と約250人の報道陣が集まった就任会見でハリルホジッチ監督は「まずはロシアW杯に出場すること。さらに参加するだけでなく上を目指す。1次リーグを突破してトーナメントに進出したい」とロシアW杯でのベスト16進出を目標に掲げた。


 さらに「日本代表と大きなことを成し遂げたい。(以前率いた)アルジェリアは(FIFAランキング)52位から3年間仕事をして17位まで上がった。それと同じ仕事を日本でもできると確信している」と力強く話し、現在ランク53位の日本をベスト20入りさせることも“公約”とした。


 この言葉を実現させるため、母国ボスニア・ヘルツェゴビナの同胞、オシム氏にラブコールを送った。「本当に親友。彼や彼の友人としっかりコンタクトを取って、1年前にも会っています」と関係の深さを強調。「私が期待したいのは、いつか彼が日本に来て試合を見てくれることだ」と親友にハリルジャパンの視察を熱望した。


 これまで数々の実績を重ねてきたとはいえ、不慣れな日本の地でアジアの戦いも経験がない。日本人選手の予備知識も少ないとくれば、不安な点も多い。それだけに元日本代表監督で知日派のオシム氏のサポートがあればまさに「千人力」だが、“援軍”はそれだけにとどまらない。


 民放キー局の関係者は「今後の試合では、どこかで(アルベルト)ザッケローニさん(61)や岡田(武史)さん(58)、ジーコさん(62)らの元代表監督に(日本代表戦の)解説をお願いしたいと考えている」と明かす。


 27日のチュニジア戦(大分)と31日のウズベキスタン戦(東京)の中継番組ではすでに出演者が決まっているが、6月から始まるロシアW杯アジア2次予選や今後予定される国際親善試合で歴代の名将たちをキャスティングするプランが進行中なのだ。


 実現すればその意義は大きい。「重鎮だからこそ言える様々な意見や指摘は必ず大きな反響を呼ぶはず」と同関係者。代表監督の先輩として忌憚(きたん)のない意見が日本中に発信されれば、ハリルホジッチ氏にも参考材料になる。時に厳しい批評があっても「結果が出なければ批判されるのは当たり前。みなさんと戦っていきたい」と耳を傾ける構えだ。


 協会側も元代表監督たちの来日は大歓迎。新監督と対面させる可能性が高い。欧州ビッグクラブで実績を重ねてきたザッケローニ氏とは戦術論を戦わせ、岡田氏とは日本人選手に合った指導や戦術の面で意見を交換し、ブラジル出身のジーコ氏からカリスマ性に加えて大国の論理を吸収する――。そういった場面が展開されることだろう。


 歴代監督たちがまさに“お目付け役”となって新指揮官をサポート。一方で激情家の新監督にはこれまで何度もクラブと対立し指揮を放り投げた“黒歴史”もあったが、歴代監督の存在はその重しにもなる。ハリルジャパンはオールスター態勢でロシアW杯での躍進を目指す。