ハリルホジッチ氏は日本サッカー界の救世主か?劇薬か?

2015年02月27日 07時30分

バヒド・ハリルホジッチ氏

 日本サッカー界がまたも大混乱に陥る!? 日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)は25日、インド出張から帰国後に霜田正浩技術委員長(48)と会談し、次期日本代表監督候補をブラジルW杯でアルジェリア代表監督を務めたバヒド・ハリルホジッチ氏(62)に一本化して本格交渉に入ることを了承した。いよいよ後任問題も大詰めに差し掛かってきたが、ハリルホジッチ氏に対する評価は賛否両論。独特のサッカー観の持ち主とあって「2006年事件」の再現が予想されている。

 八百長問題で解任されたハビエル・アギーレ前監督(56)の後任選定に、ようやく道筋がつけられた。大仁会長は霜田技術委員長から報告を受けハリルホジッチ氏に絞った交渉にゴーサイン。ミカエル・ラウドルップ氏(50=レフウィヤ監督)、オズワルド・オリベイラ氏(64=パルメイラス監督)も候補に残っていると見られるが、2人とも現時点でクラブで指揮を執っており、早急な日本代表監督就任は望めない状況。そのため、現在フリーのハリルホジッチ氏に白羽の矢を立てた格好だ。

 ハリルホジッチ氏は昨年のブラジルW杯でアルジェリア代表を率いて16強入り。決勝トーナメント1回戦ではドイツに1―2で敗れたものの、延長戦にもつれ込む大死闘を演じ「優勝国ドイツを最も苦しめた国」との評価を得た。日本協会が挙げる「W杯での指揮経験があり、8強以上の成績を挙げる可能性がある監督」という条件はクリアしている。

 今回、ハリルホジッチ氏の接触に一役買ったとされるのが、元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(73)。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の後輩監督の手腕を高く評価し、日本代表監督としての適性にも太鼓判を押した。自身に近いサッカー観、戦術論を持っていることがその根拠だ。

 オシム監督時代に代表チームに関わった協会関係者は「オシムさんのように規律や戦術に細かさがある監督は、絶対に日本人に合う。ハリルホジッチも同じタイプと聞くので、選手たちは興味深くサッカーを追求できるのでは」と歓迎。さらに「あのサッカーをW杯でやったらどんな結果だったのかという思いは、当時関わった人はみんな持っている」と続けた。

 だが一方では、厳しい見方もある。日本代表OBの一人は「ザッケローニ、アギーレと続いた流れは全く無視された。継続性の面で疑問だし、そもそも日本人選手のことを知らない監督だから、選手の特徴把握に時間がかかりそう」。また、あるJクラブの分析担当者は「クラブでも代表チームでも難解な練習をやってきたと聞く。選手はオシムさんの時みたいに絶対に混乱すると思う」と見ている。

 2006年に就任したオシム氏は練習で8~10種類のビブスを使い、選手の動き方に制限を設けるメニューを好んだ。「考えて走るサッカー」というキーワードは日本の指導法に一石を投じたが、選手たちは「体より頭が疲れる」と慣れるまで時間を要した。選手選考も独特で、就任最初の親善試合では13人しかメンバーを発表せず、後日追加発表。以後も代表合宿前日にメンバーを通達するやり方で、協会関係者を困らせた。

 オシム監督以上に我が強いといわれるハリルホジッチ氏だけに、代表監督の座に就けば再び日本サッカー界が混乱するのは確実。だが、その混乱は再建へのポジティブなものともいえる。カリスマ指揮官は日本の救世主となるのか、それとも劇薬か――。