日本代表監督を解任されたハビエル・アギーレ氏(56)の後任問題が佳境を迎えるなか、Jリーグが“悲鳴”を上げている。3月7日に開幕を控えているにもかかわらず、代表監督問題に話題を奪われてしまい、例年に比べて露出は激減。鳴り物入りで復活させた2ステージ制もシーズン前に出はなをくじかれた格好で、各方面に大きな影響が出かねない状況だ。
日本代表監督の後任人事を巡る問題が大きく動き出した。8日から新監督候補の調査のため欧州などに滞在していた霜田正浩技術委員長(48)が21日に帰国し、22日夜に同委員会を開き、情報を精査。後任指揮官について、現在フリーであることや代表監督としての実績を優先する方針を確認したという。
現時点で前アルジェリア代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(62)を筆頭に、前ボスニア・ヘルツェゴビナ代表監督のサフェト・スシッチ氏(59)、元ポルトガル代表監督のパウロ・ベント氏(45)らを上位候補に絞り込んだ模様だ。ただ今後の本格交渉も含めて先行きはまだ不透明。また後任監督が決定したとしても、サッカー界の話題が「新代表監督」に集中するのは避けられない。
こうした状況の影響をモロに受けているのはJリーグだ。幹部の一人は「代表監督のことがあるから、話題性という面で割を食っている部分はある。(リーグ戦)開幕のころと監督決定が重なったら、かなり(話題を)持っていかれてしまうだろう。もし決定まで長引けば、開幕後の露出にも影響が出るのは避けられない」と嘆く。また、あるJクラブ関係者も「この状況が続けば、試合の報道はともかく、それ以外(の露出)は例年以上に厳しくなるでしょう」と危惧する。
3月7日に開幕する新シーズンは、Jリーグの話題性アップのため2ステージ制とチャンピオンシップを導入。J1~J3のリーグ戦に冠スポンサー(明治安田生命)をつけ、今まで以上の露出アップを狙っている。だが現状では効果は薄く、代表監督問題は“いい迷惑”と言ってもいい。
24日にJ1G大阪、浦和、鹿島、柏が出場するアジアチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕したが、大きな関心を集められていない。また昨季3冠のG大阪とリーグ戦2位の浦和が激突する「富士ゼロックススーパーカップ」(28日、日産ス)も同様でJリーグ幹部は「スポンサーにも申し訳ない気持ち。何らかのお話をさせてもらうことになるかも」と対応に苦慮している。
日本代表を強化するために創設されたJリーグも、23年目の大改革を前代未聞の代表監督に話題を持っていかれるという皮肉な展開。対策を立てようがない難しい事案とはいえ、関係者の悩ましい日々はしばらく続きそうだ。