怪物ストライカー開花させた「主将選挙ゼロ票事件」

2012年01月09日 16時31分

【高校サッカー】怪物ストライカーに意外な過去があった。第90回全国高校サッカー選手権でベスト4進出はならなかったものの今大会ハットトリックを含む4得点を挙げた注目のストライカーがFW鈴木武蔵(18=桐生一)だ。すでにJリーグ新潟入りが決定しているが、昨年までは未完の大器として伸び悩んでいた。そんな鈴木が才能を開花させるきっかけなったのは“主将選挙ゼロ票事件”だったという。

 注目のストライカー鈴木は「優勝と得点王」のタイトル取りを宣言したものの、尚志(福島)に1-3で敗れ、ベスト4に進めなかった。「相手に対応されスペースがなかった。自分がダメだった。これを糧にしてプロに行って頑張りたい」と今後はJリーグでの活躍を誓った。 父がジャマイカ人のハーフ。6歳で来日し、サッカーを始めると、すぐに頭角を表し、抜群の身体能力とスピードでプロも注目する逸材となった。ただ高校に入学すると「メンタル面の弱さがあった」と鈴木本人が明かすように、なかなか結果が出せずに伸び悩み、ベンチ暮らしが続いた。
 そんな未完の大器にとって大きな転機となったのは、3年生になる前に行われたキャプテン選抜選挙だった。田野豪一監督(39)は「主将を選ぶ時に7人が立候補し、その中に武蔵もいて『絶対にやりたいです』とヤル気満々だった。でも結果は、全く票が入らなかったんだよ」と明かした。
 鈴木は普段から人気者でムードメーカーとしてチームの中心にいた。そこで最上級生になるにあたり、自らチームをけん引するためキャプテン選挙に手を上げたものの、まさかの0票で落選。MF磯部亮太(18)が主将に選出された。
「さすがにショックだったのかな。それ以降はいろんな面で打ち込み方とか意識とか何かが変わった」と田野監督。鈴木は自分本位のプレーを改めたことで才能が開花。昨年はU-17日本代表に選出され、同W杯(メキシコ)ではベスト8進出に貢献した。
 鈴木自身も「あれからは一人ひとりの気持ちや考えをより一層大事にしようとか、チームのためにという気持ちが強くなったし、自分自身ももっと変わらなきゃという思いになりました」。
 一方で鈴木は作家・東野圭吾(53)ファンという。「特に白夜行とか新参者はお気に入り。すごく良い言葉とかあるし、自分がしゃべる時にどんな言葉が人に訴えかけられるかを参考にしています」と表現力や人間の心理描写などを学び、プレーにも生かしている。
 今後は2016年のリオデジャネイロ(ブラジル)五輪出場を目標に定めた。Jリーグでも活躍するに違いない。