代表監督後任難航の裏にプレミアリーグの放映権料

2015年02月17日 11時00分

 日本代表監督の後任人事が難航している。数多くの大物監督が候補として浮上するなか、日本サッカー協会は3月末の国際親善試合までに新指揮官と契約を完了できない公算が大きくなってきた。事態が進展しない理由はどこにあるのか。この裏では、先日イングランド・プレミアリーグが発表したテレビ放映権料の総額「約1兆3000億円」が大きく影響しているという。

 

 日本サッカー協会の木村浩吉技術委員(53=育成担当ダイレクター)は15日、後任人事について「今はリスト通りにやっている。でも向こうで『こんな人はどうか』とか(売り込みも)あるし、いろいろ新しい情報もある」と、候補者を再検討する可能性を示唆した。

 

 現在、霜田正浩技術委員長(48)が渡欧して情報収集を進めている。だが、3月に予定される国際親善試合(27日=チュニジア戦、31日=ウズベキスタン戦)までの決着は「厳しいかもしれないけどね」(木村委員)と長期化は必至の状況だ。

 

 早期決着を目指しながら苦戦を強いられている裏には、想定外の出来事があった。大手代理店関係者によれば「プレミアリーグの放映権料はあまりにも衝撃的だった。ただでさえ高い報酬がさらに高くなるだろうし、有能な指導者はそっちを見ているのだろう」。

 

 イングランド・プレミアリーグは10日に、2016~19年シーズンの英国内向けテレビ放映権料が史上最高額の3年総額51億3600万ポンド(約9400億円)で落札されたと発表。前回20億ポンド(約3660億円)だった海外向け放映権料も大幅増が確実で、総額1・3兆円超えのとてつもない超大型契約となった。

 

 今回の放映権料は各クラブに分配されるため、放映権収入だけで強豪クラブは250億円以上、中堅は200億円前後、下位でも150~160億円に上る…と前出関係者は試算した。これは従来の約2倍になる見込みで、イングランドはさらなる“金満リーグ”となったのだ。

 

 選手や指揮官にとってはこれほどおいしいリーグはない。実際、スペインプロリーグ機構(LFP)のハビエル・テバス会長はFWクリスチアーノ・ロナウド(30=レアル・マドリード)やFWリオネル・メッシ(27=バルセロナ)がイングランドに流出する可能性について「私はそう思う。テレビ放映権の競争力と契約のすべてを一気に手にしようとしている」と危機感をあらわにした。

 

 監督の動向にも影響は出る。同リーグの今季の監督平均年俸は300万ポンド(約5億5000万円)に達したが、さらに報酬増を見込めるとあれば世界的名将が“イングランド行き”に狙いを定めることは間違いない。公認資格を持つ選手代理人も「大物監督ほど意識する」。つまり、日本からのオファーなど当然後回しになるというわけだ。

 

 新指揮官の候補に挙がるミカエル・ラウドルップ氏(50)やルチアーノ・スパレッティ氏(55)らとの交渉にも影響があったと見られている。難航の理由には欧州各国がリーグ戦の真っ最中ということもあるが、日本としては最悪のタイミングで選考作業を進めなくてはならない――。