日本サッカー協会は6日の臨時技術委員会で、日本代表監督から解任したハビエル・アギーレ氏(56)の後任について協議し、候補者を5、6人に絞り込んだ。今後は八百長疑惑で更迭したアギーレ氏の二の舞いにならないようリストアップした新監督候補の“身体検査”を行うが、有力候補の一人、元J1鹿島監督のオズワルド・オリベイラ氏(64=パルメイラス監督)に重大な“問題”があることが判明。他の候補も少なからず問題を抱えており、新監督選考は紛糾必至の状況だ。

 会見した霜田正浩委員長(47)は次期代表監督候補について5、6人に絞り込んだとし「具体的な名前を挙げて議論しました。交渉ごとなので(名前は)言えませんが、日本人はいません。アジアを勝ち抜ける監督を選びたい。これまでと(監督選定の)方針は変わってない」と説明した。


 リストアップしたのは現在海外クラブで指導している監督やフリーの指導者だという。オリベイラ氏をはじめ、元C大阪監督のレビー・クルピ氏(61=アトレチコ・ミネイロ監督)、前ブラジル代表監督のルイスフェリペ・スコラリ氏(66=グレミオ監督)、元ACミラン監督のレオナルド氏(45)、元イタリア代表監督のロベルト・ドナドニ氏(51=パルマ監督)に加えて元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏(61)らが候補と見られている。


 今後はリストアップした候補者の現状や契約状況などを確認し、優先順位をつけて本格交渉に入る見込みだ。


 ただ前任のアギーレ氏に八百長疑惑が浮上して解任に至ったように“身体検査”は不可欠。二の舞いを避けるためスペインのクラブで指導経験のある指揮官は敬遠されており(本紙既報)、技術委員会としても詳細な調査を行う。


 そんななか、有力候補とされるオリベイラ氏には問題点が浮上した。ある関係者によれば「かつて横浜Mが監督にしようとリストアップし調査したことがあったけど、その時に、実は少し心臓に問題があるという情報が入って、リストから外した。監督の健康問題は大事だから」。


 日本協会ではかねて代表監督の健康問題にも踏み込んできた。特に2007年11月にイビチャ・オシム氏が脳梗塞で倒れて退任して以降、新監督を迎える前にチェックは欠かせない作業となった。協会幹部は「常にプレッシャーのかかる仕事なので心身ともに健康でなければ代表監督は務まらない」とも話している。オリベイラ氏は現在は健康なようでクラブを指揮しているが、今後の絞り込みに向けて重大な選定要素になるのは間違いない。


 他にもレオナルド氏には不倫から離婚訴訟をしていた過去があり、スコラリ氏は磐田の監督を退任した際、日本サッカーへの嫌悪感を示したことを問題視する関係者もいる。もちろん、欠点のない完璧な人間などいるわけがないが、技術委員会としてはどこまでを許容範囲とするのか、判断が難しいところだ。


 霜田委員長は身辺調査について「今回の件を教訓にしないといけない」とコメント。技術委員で名古屋の久米一正GM(59)も「難しい部分もあるが、しっかり協会一丸でやっていかないといけない」と話した。果たして、目標となるJリーグ開幕の3月7日までに新監督を決定できるのか。