アギーレ解任決断させたスポンサーの追及

2015年02月04日 16時00分

昨年8月の就任会見では笑顔だった(右)から大仁会長、アギーレ監督、原専務理事

 3日の日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)の電撃解任劇の裏には、スポンサー問題が大きく横たわっていた。巨額な契約金を支払い、日本サッカー協会と日本代表を支援するスポンサー企業にとって、最も恐れていたのが八百長問題によるイメージ悪化。協会としてはスポンサー離れのリスクを回避しつつ、重点課題となっている“ご新規様”の獲得に支障が生じないように、大ナタを振るった形だ。

 

 都内のJFAハウスで緊急会見を開いた日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)はアギーレ監督の解任を発表し「W杯アジア予選にできるだけ影響が出ないように、リスクを排除する必要がある」と理由を説明。そのうえで「代表の選手、ファンやサポーター、スポンサー、関係者の皆様にご心配をおかけして申し訳ない。私どもの結論をぜひ理解していただき、今後もご支援を願いたい」と語った。

 

 この言葉通り、各方面へ及ぼす影響を考慮して解任という決断に至ったわけだが、なかでも最重要視したのが「スポンサー」の存在だ。

 

「日本代表のスポンサーは一流企業ばかりで、この手の問題には敏感。契約の大きさも考えれば、黙って見過ごすことはできないでしょう」と大手広告代理店関係者は指摘する。代表のスポンサーは、8年総額240億円(推定)とも言われる公式サプライヤーのアディダスジャパン社を筆頭に巨額の資金を投入している。当然のことながら協会側もその意向は無視できない。

 

 八百長問題の発覚後は、日本代表監督の前代未聞のスキャンダルによって企業イメージに傷がつくことを不安視。協会側に“適切な対処”を求めるスポンサーも複数あったと言われている。

 

 だが、それよりも大きかったのが“新規開拓”に及ぼす悪影響だ。「この問題が片付かなければ、新たなスポンサー獲得は相当厳しい状況と言わざるを得ないでしょうね」(同関係者)

 

 企業側からすれば、火種を抱える日本代表への巨額な費用投入に、二の足を踏むのは当然。協会としても、これまで付き合いがあった既存スポンサーなら説得できたとしても、何のしがらみもない新規クライアントには通じない。交渉時に容赦ない追及を受けることは確実で、納得いく説明と状況改善を示せなければ、契約は成立しない。

 

 代表チーム強化と日本サッカー発展のために、資金はいくらあっても十分ということはない。さらにアギーレ監督との契約解除にあたり、違約金は発生しなくても残りの契約期間内の年俸負担など、今後高額な金銭を支払う可能性もある。協会にとって重点課題と言える新規顧客の開拓にあたり、監督解任の決断を下したのは当然の流れだ。

 

 とはいえ、告発までされながらここまで解任をためらったことで、日本代表の“ブランド”には深刻な傷がついた。遅きに失した感のある決断のダメージは決して小さくはない。