欧州でプレーする日本代表イレブンの周辺があわただしくなってきた。欧州各国リーグの移籍期限となる2月2日(一部を除く)が迫るなか、日本代表FW岡崎慎司(28)の所属するマインツ(ドイツ)がストライカーを緊急補強。岡崎放出への布石と見られている。他のアギーレジャパン戦士にも移籍の“火種”はくすぶり続けており、その動向からギリギリまで目が離せない。

 ドイツ誌「キッカー」は27日、マインツがチリ代表FWニコラス・カスティージョ(21=クラブブリュージュ)の獲得にクラブ間で合意したと報じた。チリメディアも既成事実として報道し、移籍は決定的な状況だ。

 カスティージョはベルギーリーグで今季8ゴール(25日現在)をマークしている点取り屋。マインツの意向として、ドイツリーグで8ゴールを挙げ得点ランキング4位の岡崎の「負担を減らすため」とも伝えられているが、同タイプのストライカーを獲得する意味は大きい。

 1月にイングランドのレスターが岡崎の獲得に乗り出し、移籍金1000万ユーロ(約13億3000万円)で正式オファーを出した。これに対してマインツのハイデルGMは「1500万ユーロ(約20億円)を提示されたら、もう一度考え直さなければならない」と、条件次第では放出を認める考えを示しているからだ。

 すでにレスターは岡崎をあきらめクロアチア代表FWアンドレイ・クラマリッチ(23)を獲得しており、この移籍話は消滅。だが、同じイングランドのウェストブロミッジ(WBA)やウェストハムが関心を強めているほか、日本代表DF内田篤人(26)が所属するシャルケ(ドイツ)も岡崎に興味を示す。本人もアジアカップ中に「年齢的にも(移籍は)ラストチャンスだと思う。まだまだどうなるか分からない」と話している。そうした状況でクラブが“代役”を獲得とあっては、土壇場でサプライズ移籍の可能性もありそうだ。

 DF長友佑都(28=インテル)の去就も気になるところ。24日付のイタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」による退団報道に長友は「何も聞いていない」と話したが、今季途中に就任したロベルト・マンチーニ監督(50)の構想から外れているとの指摘もある。すでにWBAなど複数クラブが関心を持っていることが伝えられており、どうなるか分からない。

 そして…不振を極める香川だ。これまで蜜月関係にあったユルゲン・クロップ監督(47)がドイツ誌「シュテルン」で、昨年9月の復帰当初に香川が右太もものケガを隠したことについて「戻って来ても違う人物になるものだ。物事への見方が変わる」と語り、不信感をあらわにした。

 下位に低迷するドルトムントでは負傷者の復帰と新戦力の獲得で、香川は余剰戦力と見られている。アジアカップ前から下部リーグへのレンタル移籍がささやかれており、最大の理解者だった指揮官から見放されたとあれば、放出も現実味を帯びてくる。

 移籍のタイムリミットまであとわずか。例年以上に何があってもおかしくない状況だ。