日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)が思わぬ形で“延命”する可能性が出てきた。

 日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)は22日、日本代表がUAEと対戦するアジアカップ準々決勝視察のため、オーストラリアに出発。協会として八百長疑惑の告発が受理されたことを確認できないままの離日となったことで「敗退後、即解任通告」というカードを切ることができなくなった。

 成田空港で取材に応じた大仁会長はアギーレ監督の処遇について「アジアカップが終わって受理されたら、やります」とだけ答え、決戦地に向かった。今大会はノルマを課していないとはいえ、連覇を逃せば監督の責任問題が追及されるのは確実。ただでさえ八百長疑惑を抱えている指揮官だけに、大仁会長ら協会首脳は“合わせ技”で解任にまで持ち込む流れも想定している。

 だが困ったことに、協会側は現時点でアギーレ監督の告発がスペインの裁判所に受理されたという事実を把握できていない。スペインの複数のメディアが告発受理を報じたのが14日。日本協会は担当職員を現地に派遣し、いくつかのパイプを駆使して情報収集を急いでいるが、1週間が過ぎてもまだスペインメディアの情報に追いついていない。

 これについて、Jクラブ関係者からは「実はもう確認が取れているのに、騒ぎが大きくなるから公表しないだけかも」という声もあるが、あるFIFA公認代理人は「日本協会が簡単につかめる情報じゃない。地元メディアだって法に触れるギリギリの内通者とかから情報を得ているくらいなんだから」と見ている。

 いずれにせよ、日本協会側は受理確認ができない限りは、アジアカップが終了しても今回の件で説明機会の場を設けない方針。つまり、協会が“力不足”を露呈すればするほど、アギーレ監督の「解任Xデー」はずれ込んでいく。負けたら終わりの決勝トーナメントに突入した日本代表とは対照的に、協会側の緊張感はまだ薄い。