<アジア杯1次リーグD組:日本2-0ヨルダン>日本代表MF香川真司(25=ドルトムント)に待望のゴールが生まれた。勝利に大貢献した背番号10は、周囲からの祝福に喜びを爆発。不振脱出のきっかけをつかんだ裏には、MF清武弘嗣(25=ハノーバー)とのある「誓い」があった。

 ようやく背番号10に笑顔が戻った。後半37分、自陣左サイドから清武が縦パスを送ると、これに反応した途中出場のFW武藤嘉紀(22=FC東京)がグラウンダーのクロス。走り込んだ香川が右足で合わせ、GKの手をはじいたボールはゴールに吸い込まれた。

 昨年のブラジルW杯直前の米国合宿中に行われたザンビア戦(6月6日)以来約7か月ぶりの得点。ハビエル・アギーレ監督(56)就任後初ゴールとあって「すごくうれしかった。チームあってのゴールだし、チームあっての自分だと再認識できた」とチームメートへの感謝を口にした。FW本田圭佑(28=ACミラン)も「真司は点を取れる選手。ゲームメークするだけではなくて、ああいうところで決定力を見せてくれることはチームにとっても非常に心強い」と喜んだ。

 マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)での不遇、ブラジルW杯での無念、ドルトムント移籍後の不振、アギーレジャパンで与えられたインサイドハーフのポジションでの苦戦…香川は背番号10としての責任を果たせないことに焦り、悩みを深めていた。周囲がどんなにフォローしても解決できない日々。インサイドハーフの香川は守備の負担が増え、プレーエリアも以前より下がった。サポート役としての仕事が求められ、得点のチャンスからは遠ざかっていた。

 そんななか、香川は清武のひと言で我に返った。今回の合宿で初めてアギーレ監督から招集された清武は、香川同様にインサイドハーフでの起用が多くなることがわかっても「得点にこだわる」と堂々と宣言。それを聞いた同ポジションの香川は吹っ切れた様子で「フィニッシャーにこだわる」と清武の前で言い切った。

 積極性を取り戻した10番がゴールを奪うのは時間の問題だった。

「次の試合もタフになるし、負けられない戦いになる。勢いを持って準備したい」と気持ちを引き締める香川。重圧から解放された背番号10がようやく大暴れの態勢を整えた。