エース本田“審判批判”の真意

2015年01月15日 08時10分

【オーストラリア・ブリスベン発】16日のイラク戦を目前に控え、エースの言動が大きな波紋を呼んでいる。サッカー日本代表はアジアカップ1次リーグ初戦(12日)でパレスチナに4―0と快勝したが、試合後にFW本田圭佑(28=ACミラン)が一部メディアに「まるでバスケットボール」などと審判批判を展開していたことが発覚した。今後は大会側からペナルティーを科される可能性も出てきたが、本田の“真意”はいったいどこにあったのか。

 FIFAランク115位と格下のパレスチナを一蹴し、大会連覇に向けて好発進したが、試合後の選手に笑顔はほとんどなし。相手に退場者が出て数的有利になったにもかかわらず、ミスを連発して追加点が取れなかったことで、主将のMF長谷部誠(30=Eフランクフルト)は「僕個人を含め選手は誰一人満足していない」と振り返った。

 そんななか、本田は別の理由でいら立ちを見せていた。試合後の取材エリアで日本メディアに対応した後、一部の外国メディアに対して英語で主審の判定を批判。「文句は言いたくないが」としながらも「大会のレフェリーのレベルに問題がある。まるでバスケットボール。相手の体に触るたびにファウルをとられた。なのに、相手のハンドはとらなかった」と話し、基準が一定でなかった不公平なジャッジに苦言を呈したのだ。

 いくら不可解な判定があったとしても、選手や監督が審判批判をするのはご法度。内容によっては罰金どころか、出場停止や大会追放といったペナルティーを大会側から科される可能性もある。所属協会が独自に制裁に動く場合もあり、今回の本田の発言について日本サッカー協会関係者も「何を言ったか確認できていないが、あまり好ましいことではない」と渋い顔だ。

 とはいえ、本田の言い分もわからなくはない。パレスチナ戦の後半には、途中出場のFW武藤嘉紀(22=FC東京)が相手から足裏でタックルを受けて悶絶。一発退場でもおかしくないプレーだったが、警告どまりだった。レベルの差が大きいため、日本にとっては通常のチャージですらファウル扱い。前回カタール大会の1次リーグ第2戦シリア戦でもGK川島永嗣(31=スタンダール)が不可解なレッドカードを受けて退場している。日本に対する“逆風”は変わっていないだけに、選手のストレスも増すばかりだからだ。

 この件については長谷部も「昨日の試合は(主審が)笛を吹く回数が多かったと思う。もう少し試合を流すというか、プレー時間を長くするということは、アジアのレベルを上げるという意味で大事なこと」と本田の意見に同調。チームスタッフも「圭佑は前回大会のMVP。その選手が、負けた言い訳のように話したのでなく、本当にアジアのサッカーを良くしようという意味で言っているのだから。これでペナルティーとか受けるようなら、それこそレベルが低い」とエースの発言を擁護した。

 審判問題はアジアサッカーの“アキレス腱”といってもいい。そこにメスを入れることは容易ではないが、本田の発言の影響力の大きさはアジアレベルを超えている。今回の一件が何かを変えるきっかけになるのか注目だ。