ザックが香川に苦言を呈した理由

2012年09月03日 12時00分

 日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(59)が日本の10番に異例の通達だ。日本サッカー協会は、キリンチャレンジカップUAE戦(9月6日、新潟)とブラジルW杯アジア最終予選イラク戦(同11日、埼玉)に臨む日本代表メンバーを発表。この会見でザッケローニ監督はエースFW香川真司(23=マンチェスター・ユナイテッド)に対して苦言を呈したのだ。指揮官の“異例表明”の裏には、いったいどんな意味が込められているのか――。

 

 異例の発言だった。ザッケローニ監督は、マンU加入後からいきなり大車輪の活躍を見せる香川について「日々のクラブでのやり方を片隅に置き、代表チームのやり方に集中してほしい」と苦言を呈した。メンバー発表会見で指揮官が自身で選出した選手にクレームをつけるのは極めて珍しいことだ。

 この背景には香川が日本代表では本来のパフォーマンスを発揮できていないことがある。6月のW杯アジア最終予選3連戦、8月の親善試合ベネズエラ戦でも周囲とかみ合わずにミスを連発。香川自身も「やってはいけないミスをした」と反省の弁を述べたように、日本代表が戦うW杯アジア予選ではいまだ戦力となっていない。

 そこで、ザッケローニ監督は香川に自覚を促すため、あえて公式会見で厳しい見解を発信したのだ。日本サッカー協会の大仁邦弥会長(67)も「監督は自分の発する言葉が持つ意味をよく理解している。どういうふうに伝わるかも含めて…」とその真意を解説した。

 一方で指揮官は、香川のライバルでもう一人のエースMF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)に関しては「現在のポジション(トップ下)は適正と思っている。チーム全体のコンディションに問題がある中、体調のいい選手がいるのはうれしい」と絶大な信頼感を口にする。もちろん、これも香川を発奮させるための作戦だろう。

 さらに「UAE戦をうまく使い、チーム全体で最高のコンディションで(W杯予選イラク戦に)臨みたい」。香川がUAE戦で信頼回復につながるパフォーマンスが見せられなければ、W杯予選イラク戦でサブに降格する可能性まで示唆した。

 誰もが認める才能と技術を持つ天才プレーヤーが、日本代表では躍動できないジレンマがある。今シリーズが香川にとって大きな正念場となること間違いない。