第93回全国高校サッカー選手権は30日、東京・駒沢陸上競技場で開幕し、開会式後の1回戦で今夏の全国高校総体を制した東福岡が三鷹(東京B)に2―0で快勝し、2回戦に進んだ。過去2度優勝の東福岡は後半立ち上がりに左CKを中島が頭で合わせて先制し、再びCKから小笠原が加点した。

 東福岡は後半2分、DF末永の左CKを主将のMF中島が頭で押し込み先制。さらに同19分、末永の右CKを今度はDF小笠原がヘディングで流し込み、追加点を奪った。


 今夏のインターハイを制し、本山(鹿島)を擁した1997年以来の夏冬2冠を目指す東福岡だったが、開幕試合で1万5000人以上の大観衆が集結。さらには相手が地元東京B代表の三鷹とあって、前半は硬さが見られた。


 チャンスはつくるものの、なかなか生かせなかったが、苦しい状況を打破したのは中島の判断力だった。CKの際はゴールから遠めにポジションを取ることが多いが、この日は試合の流れをみて、思い切って中に飛び込んだ。


「キャプテンとして、さらには10番も背負う以上、チームがつらい時に自分が何をできるか常に考えてきた」(中島)という言葉通りの好行動で勝利を呼び込んだ。


 大会前から中島に「得点王を狙え」と言ってきた森重監督は「決めるべきやつが決めたことで勝利に結びついた」とJ1横浜M入りが内定している大黒柱をたたえた。
中島も「得点王はもちろん取りたいけど、自分が自分がってなってしまうと、ちょっと違う。チームのために攻めた結果が得点王だと一番いい」と改めて得点王への思いを告白した。


 今大会は優勝候補筆頭とあって、今後も死に物狂いでぶつかってくる相手チームとの激闘が予想される。それでも中島は「そういう相手が来た時に動揺することなく、自分たちのサッカーができれば結果はついてくる」と強気の構え。頼れる主将がチームを日本一に導く。