サッカー日本代表は29日、連覇がかかる来年1月のアジアカップ(オーストラリア)に向けて千葉県内で国内合宿をスタートさせた。ハビエル・アギーレ監督(56)が八百長疑惑をかけられているだけでなく、不動の右サイドバックDF内田篤人(26=シャルケ)の離脱やMF香川真司(25=ドルトムント)の不調など明るい材料は少ないが、代表イレブンは逆境をはねのけて栄冠を勝ち取るつもりだ。


 この日午後、東京都内のホテルへ集合した代表イレブンは、千葉県内での練習に先立ち、ホテルを訪れたサッカー協会の大仁邦弥会長(70)と原博実専務理事(56)からミーティングの冒頭、八百長疑惑を抱えるアギーレ監督に関する事情説明を受け、指揮官自らの潔白主張も聞いた。


 現在アギーレ監督の八百長疑惑は、スペイン検察庁の告発が裁判所に受理されるかどうかの段階で、告発が受理された場合は本格的な捜査が始まるという状況。説明を終えた大仁会長は「アギーレ監督からも選手に話をした。アジアカップに向けてサッカーに集中してほしいお願いした」と話した。


 もちろん協会幹部や指揮官本人の説明で全てがスッキリしたわけではないが、選手は、どんな状況でも目の前戦いに集中しなければならない。MF長谷部誠(30=Eフランクフルト)は「全員で(来年1月の)アジアカップに集中するために、しっかり話し合いをして一つの方向に向いていかないといけない」と話しており、近日中に選手ミーティングを開催してチーム一丸ムードを高めていくつもりだ。


 そして難題は“アギーレ問題”だけにとどまらない。合宿直前に内田が、右膝のケガでアジアカップを辞退。戦力ダウンは否めず、長友が「日本の大きな力だし残念」と話すように、イレブンに動揺が広がりかねない。また香川の不調も懸念材料。11月の親善試合(ホンジュラス戦、オーストラリア戦)では、本来のパフォーマンスを発揮できず、その後はドルトムントでも3試合出場なしの屈辱も味わっている。


 サッカーに集中しづらい環境になっている上に、なかなか戦力の歯車がかみ合わない状況だが、FW岡崎慎司(28=マインツ)は「何か問題があったときこそ、チームが成長できる」とキッパリ。言葉通りの展開になるか今後に注目だ。