来年6月のサッカー女子W杯カナダ大会の1次リーグ組み合わせが決まり、なでしこジャパンは「天国の組」といわれる絶好の組に入った。前回ドイツ大会からの連覇に向けて佐々木則夫監督(56)は戦略の構築作業を始めたが、今回の組み合わせは大黒柱のMF澤穂希(36=INAC神戸)の代表復帰に向けた大きな光となった。

 澤は9月のアジア大会(韓国・仁川)に続き、欧州組を招集してベストメンバーを組んだ10月のカナダ遠征でも代表メンバーから外れた。今季のリーグ戦でパフォーマンスが上がっていないことが最大の理由。年齢的なものもあり、連戦が利かなくなってきたことがネックとなっている。

 そんな澤にとって朗報となったのが、今回の組み合わせ決定で判明した大会日程。C組のなでしこジャパンは1次リーグこそ中3日続きで3試合を戦うが、同組1位で突破すれば決勝トーナメント1回戦までは中6日というゆとりのある日程となった。しかもその相手は他組の3位突破チーム。「この日程なら、年齢的に不安がある澤でもコンディションを落とさずに戦えるし、澤に決勝トーナメント1回戦くらいまで任せられるようなら、他の選手の負担も減る」と協会関係者は見ている。

 チーム内では、澤は経験や勝負勘といった部分で他の選手に勝っており、戦力的に欠かせないという意見で一致している。一方で、唯一の不安が、優勝するために7試合を戦い抜く体力があるのかということ。だが今回の日程なら、回復に時間がかかる澤でも次の試合に向けた調整がしやすくなった。

 INAC神戸関係者も「もともと澤は大会に入れば自然とコンディションが上がるタイプ。この日程は澤に『W杯で戦ってください』と言っているようなもの」と太鼓判を押す。なでしこの“レジェンド”がカナダの地で歓喜の輪の中心にいる姿は十分に期待できそうだ。