G大阪が“アジア制圧”に乗り出す。13日の天皇杯決勝でJ2山形を3―1で下し、5大会ぶり4度目の優勝。J1リーグ戦、ナビスコカップを含めた3冠を達成し、2000年度の鹿島以来となるJリーグ史上2チーム目の快挙となった。来季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で7年ぶりのアジア王座を狙うが、ピッチ外ではJ人気復活のためにアジア市場への進出を計画。G大阪の野呂輝久社長(60)がその野望を明かした。

 天皇杯決勝ではエースのFW宇佐美貴史(22)が2ゴール1アシストと大活躍し「3冠」を果たした。宇佐美は「常勝軍団になるために来季は今季以上に重要。さらに上積みをしないといけない」と、さらなる飛躍を誓ったが、クラブ側も“次の一手”に打って出る。

 Jリーグの盟主となったG大阪の野呂社長は「ウチが3冠を取ったことでアジアの戦いでも注目を集めるかもしれない。これからのJリーグを考えていく上で、アジア市場の開拓は非常に重要。テレビ中継も現地でもっとやってもらえるようにJリーグにも働きかけていきたいし、しっかりと戦略を持ってやればファンの需要も掘り起こせる」と力説する。

 絶大な人気を誇る日本代表とは対照的に、Jリーグ人気は地盤沈下に歯止めが利かない。リーグ戦の地上波全国中継はごくわずか。視聴率は2%に届かないほどで不振を極める。メディア露出も頭打ちで、スポンサー集めに大苦戦。当然収益は伸びず、J各クラブは厳しい経営環境に置かれている。

 こうした現状を打破するためにJリーグは東南アジア市場の開拓を標ぼうする。サッカー熱が非常に高い地域で、特にマンチェスター・ユナイテッドなど強豪クラブがひしめくイングランド・プレミアリーグの人気は根強い。東南アジア10か国向けのテレビ放映権だけでも600億円(2012年度)を超える収益を上げている。

 そこでJリーグも人気を伸ばそうと躍起になっており、G大阪では現地での選手交流、指導者派遣をはじめグッズ販売、イベント開催、スポンサー集め…と独自プランを温めている。

 その上で野呂社長は「今年優勝争いをした浦和さん、鹿島さんなどと一緒に引っ張っていくことも大事になる」。人気と実力を兼ね備えるJリーグの“ビッグクラブ連合”でアピールする構えだ。

「地道にやれば、同じアジアである日本にきっと注目が向く。打倒マンUですよ」(野呂社長)と地の利を生かして欧州勢に立ち向かう。3冠を達成したG大阪がJリーグ復活の救世主となれるか注目だ。