アギーレジャパンが臨む来年1月のアジアカップ(オーストラリア)に向け、G大阪のエースFW宇佐美貴史(22)の日本代表待望論が高まっている。今季ブレークした天才ドリブラーは、チームをJリーグとナビスコカップの2冠に導いた。数々の課題も指摘されているなか、アジア2連覇を狙うには欠かせない新戦力になるという。

 今季のリーグ戦では10ゴールを挙げ、チャンスメークでもチームの勝利に大きく貢献。J1昇格初年度でG大阪が躍進する原動力となった。誰もが認める好パフォーマンスを見せてきたが、いまだアギーレジャパンには招集されていない。

 その理由についてJクラブ関係者は「90分間を戦えるスタミナがない」「守備ができない」などの問題点を指摘している。イレブンに攻守両面での貢献を求めるハビエル・アギーレ監督(56)からは現代表のスタイルに適合しないとみられているようだが、あるJクラブ監督は「それでも、あの突破力はすごいと思う。シュートもうまいし、十分戦力になる。代表にいないのはもったいない」と話す。さらには「アジアカップでは相手が守備固めしてくるから、宇佐美のように前から仕掛けられるドリブラーが必要になると思う、攻撃力は代表に入ってもトップクラスだからね。あとはアギーレ監督が守備を求めればいいだけでしょ」と代表入りを猛プッシュする。

 前回覇者の日本に対して、対戦国はゴール前に人数をかける守備的な戦いでカウンターを狙ってくる。堅いゴールをこじ開けるには、宇佐美のようなタイプの選手が不可欠というわけだ。

 日本代表では、10番を背負うMF香川真司(25=ドルトムント)が不振から抜け出せず、アジア杯ではサブ降格もささやかれている。その代役候補にはMF清武弘嗣(25=ハノーバー)が浮上しているが、香川とプレースタイルが似ている宇佐美のほうがより適任なのは間違いない。

 宇佐美は今季の活躍でベストイレブンに選ばれたが「理想とする目標には程遠い」と話し、今後に向け高い意欲を示している。13日にG大阪は「3冠」をかけてJ2山形との天皇杯決勝(日産)に臨む。J1鹿島しか成し遂げたことのない偉業達成に貢献すれば、15日に発表される日本代表メンバー23人に入る可能性も出てきそうだ。