田中陽子 衝撃のスイッチFK

2012年08月27日 12時00分

 若き女王の魔法が日本に衝撃を与えた。U—20女子W杯1次リーグ最終戦で日本はスイスに4—0と圧勝し、決勝トーナメント進出を決めた。MF田中陽子(19=INAC神戸)が前半30分に右足で鮮やかな直接FKを決めて先制すると、後半2分には左足で直接FK弾の離れ業。ヤングなでしこは完璧な試合運びでアジア王者の力を見せつけた。A組1位となった日本は30日の準々決勝(国立)でB組2位の韓国と因縁の対決に挑む。

 サッカーの聖地・国立競技場にさわやかな風が吹いた。前半30分、自らが得たゴール正面からのFKに大きな助走をとった田中陽は迷いなく右足を振り抜いた。ボールはGKの手が届かないゴール左上に突き刺さった。スタンドからは驚きの声が響き、すぐに大喝采へと変わった。その声を心地よさそうに聞いた田中陽は無邪気に笑った。「私の仕事は得点に絡むこと。だからゴールを狙う」と語っていた通り、見事に“有言実行"を果たした。

 主将のMF藤田が体調不良のためベンチスタートとなり、田中陽はこれまでのトップ下から守備的MF(ボランチ)に下がった。3年前のU—17女子W杯で準優勝した時と同じMF猶本との名コンビが復活し「やりやすいからどんなプレーもできる」と手ごたえを感じて試合に入った。初戦のメキシコ戦、2戦目のニュージーランド戦に続く1次リーグ3試合連発もこれまで培った自信が生んだ結果だった。

「陽子劇場」は前半だけで終わらなかった。後半開始早々の2分、ゴール前で倒されて得たFKに今度は左足を振り抜いた。ボールはGKが反応できないほど鋭く落ち、再びネットを揺らした。直後の7分にFW西川のゴールが決まったところでベンチに退いた田中陽は、スタンドに向かって控えめながら手を振って応えた。後半39分には猶本が倒されて得たPKを自身で決めて4点目を奪った。

 2勝1分けの勝ち点7で1次リーグを突破し、準々決勝の相手は韓国に決まった。U—17女子W杯決勝で死闘を繰り広げながら、PK戦の末に敗れた因縁の相手だけに力が入る。「あの時の悔しさは今でも忘れることはない。絶対に今度は勝つ」とのリベンジへの思いは強い。左右どちらからでも繰り出せる“魔法のFK”に磨きがかかった今なら、韓国撃破とW杯制覇はそう難しいことではないかもしれない。