<J1第32節(22日、浦和スタジアム):G大阪2-0浦和>敵地での劇勝で勝ち点差を2まで縮め、大逆転Vも見えてきたG大阪。優勝したナビスコカップ、4強進出の天皇杯と合わせ3冠獲得も見えてきたが、その快進撃の裏にはFW宇佐美貴史(22)の意外な貢献があった。

 今季のG大阪の最大の強みは、先発選手に引けを取らない控え選手の実力。全員が高いモチベーションを維持し、結果につなげている。この日途中出場で2点目を決めた倉田も「リザーブどうこうじゃなく全員で戦う。そういう気持ちが今のチームにはある」と胸を張る。

 それを支えるのが、宇佐美のドイツでの経験だ。「勝つために何ができるか。例えば欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝はベンチに座っているだけで出る気配もなかったけど、ビッグマッチに入っていく世界的選手のやり方とかを感じたし、あの舞台の経験はやっぱり大きい」

 バイエルン・ミュンヘン時代の2012年5月、宇佐美は日本人として初めてCL決勝でベンチ入りを果たした。出場機会こそなかったが、W杯決勝と並ぶサッカー界の頂上決戦を肌で感じ、控え選手の重要性を学んだ。古巣復帰後はエースとして君臨するが、控え選手への気配りやアドバイスも欠かさず一体感を高めてきた。

 さらに「シュバインシュタイガー(30)とかは普段何も言わないけど、ここぞという時に身ぶり手ぶりで熱いことを言う。心を揺さぶられた」。ドイツ代表としてブラジルW杯優勝も果たした闘将の姿に感銘を受け、自らも勝負どころで率先してチームにゲキを飛ばしている。プレーでは最近調子を落としているエースだが、ピッチ外で“世界最強軍団”の教えを実践。G大阪の逆転Vのカギは宇佐美が握っている。