日本代表FW岡崎慎司(28=マインツ)が、18日のキリンチャレンジカップ・オーストラリア戦(大阪・長居)で待ちに待ったアギーレジャパン初ゴールを決めた。6月のブラジルW杯以来の一発で、区切りとなる代表通算40ゴールに到達。悩めるストライカーにとって、2つの懸案事項を解決する価値あるゴールとなった。

 1―0で迎えた後半23分に岡崎が魅せた。DF森重真人(27=FC東京)からのグラウンダーのクロスを、ゴールを背にしながら右のヒールで合わせる技ありの一撃。後半7分には決定的なシュートを相手GKに阻まれており「それまでチャンスを潰していたので、気持ちで決めた感じですね」と胸を張った。

 記念すべきアギーレジャパンでの初ゴールは代表通算40点目(歴代3位)。アギーレ体制になってから5試合無得点で「点を取れなくて、もどかしい。危機感はある」と悩みを深めていたが、それも吹き飛ばした。

「欧州でFWとして点を取らないとどうなるかという怖さを知っているから」。この日の試合でゴールを決められなかったら、来年1月のアジアカップ(オーストラリア)の先発落ちも覚悟していた。それだけに試合後は「(オーストラリア戦が)ラストチャンスだと思っていたのでよかった」と安堵感を漂わせた。

 ヒールで合わせる華麗なテクニックから生まれたゴールは、トレードマークの泥臭さとは正反対。「テクニックというより、最後は決めたい気持ちだった」と恥ずかしそうに振り返ったが、本音は違う。「僕は華麗なシュートとか豪快なシュートがない。みんなが“オオッ”という感じじゃないんです」とビューティフルゴールがないプレースタイルも悩みの種だった。謙遜する言葉とは裏腹に、心の中はニンマリだったわけだ。

 アギーレ体制6試合目にして、ようやくセンターFWとしての仕事を果たした。FW本田圭佑(28=ACミラン)からは「自分もそうなんですけど、下手くそなヤツが(ファンの)期待に応え続けられるのは大変なこと。それに『パスを出せ』と言っても出さないエゴイスト的な部分が磨かれている」と辛口賛辞を贈られ、FWとしての進化を認められた。

 この日のゴールもパスの意識があったら生まれなかった。懸案事項も解決し、エゴイストぶりにも磨きがかかっている今の岡崎なら、アジアカップでの大爆発も期待できそうだ。