【ドイツ・ドルトムント4日(日本時間5日)発】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグ第4節が行われ、日本代表MF香川真司(25)が所属するドルトムント(ドイツ)はホームでガラタサライ(トルコ)に4―1で勝ち、2試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。香川はユルゲン・クロップ監督(47)との確執が伝えられるなど不穏な空気も漂っていたが、抜群の動きを見せて勝利に貢献。熱い抱擁で不仲説を吹き飛ばした。

 完全に胸のつかえが取れたわけではないだろうが、香川にとってはひとまずホッとできる結果だった。前節、敵地で4―0と圧勝したガラタサライとの折り返しの一戦。リーグ戦5連敗とドロ沼にはまっているなか、CLではここまで無失点での3連勝。その流れはこの日も変わらなかった。

 前半の序盤こそガラタサライのオランダ代表MFスナイデル(30)を中心とした攻撃に手を焼いたが、次第にドルトムントのペースに。前半33分には香川の縦パスから攻撃のスイッチが入り、MFムヒタリャンのヒールパスに走り込んだ香川が右足アウトにかけたシュート。惜しくもゴール左にそれたが、連係が冴え始めた。

 そして同39分に待望の先制点。DFピシュチェクからの長いスルーパスを受けたMFロイスがエリア右からシュート。ボールはGKの股間を抜き、ゴールネットを揺らした。スルーパスの瞬間に香川がロイスと巧みにポジションチェンジを図ったことで、相手DFのマークが分散。香川を含めたチーム全体の流動性が生んだゴールだった。

 そんな香川だったが、試合前には気になる情報が流れていた。ドイツ紙「ビルト」(3日付)が10月31日の練習でのシーンとして写真を掲載。香川がクロップ監督に胸ぐらをつかまれているという衝撃的なものだった。

 指揮官が香川の練習着をつかみ、なにやら怒号を飛ばしている。香川の表情もふてくされているように見えることで、蜜月関係の2人の亀裂さえ感じさせる。同紙は「ドルトムントはピリピリしている」と見出しを掲げ、クロップ監督がトレーニング中から荒れ狂っていると報じた。

 なぜ香川がクロップ監督に詰め寄られているのか。その詳細は伝えられていないが、チームは2部降格圏となる17位に低迷。クラブ史上初の事態に緊張感が漂っているのは間違いない。日本サッカー界にも波紋が広がっており、元Jリーガーの一人は「監督が怒るのは珍しくないけど、手を出すのはあまりない。チームの和を乱すような問題でも起こしたのかもしれない」と衝撃写真に興味津々だった。

 香川はこの翌日に行われたドイツリーグのバイエルン・ミュンヘン戦でスタメン出場し、キレのある動きを見せていた。だが試合は1―2で敗れていただけに、CLでの結果が欲しかった。

 1点リードで迎えた後半7分、香川に思わぬアクシデントが襲い掛かった。CKを得てコーナーに走っていった香川にガラタサライのサポーターから爆竹が投げ入れられ、試合が中断。再開直後のCKはクリアされたが、2度目のCKでは香川のショートコーナーからチャンスが生まれ、DFパパスタソプロスの2点目につながった。

 香川は同17分にMFギュンドガンと交代。

 ベンチに下がる際にはクロップ監督と熱い抱擁を交わした。2人の間に遺恨がないことを物語るシーンで、チームが壊れていないことも証明した。

 24分に1次リーグ初失点を喫したが、ドルトムントはさらに2点を奪ってタイムアップ。香川は得点にこそ絡めなかったが、チームとともに復調の兆しを見せた。