なでしこを悩ませる新たな“難敵”

2014年11月09日 16時00分

課題克服に頭を悩ます佐々木監督

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は先月末のカナダ遠征を2連勝で締めくくり、年内の活動を終了した。連覇が懸かる来年6月のカナダW杯に向けた選手選考もほぼ終了。大きな手応えをつかんだ一方で、克服しなければならない新たな課題も浮上した。なでしこを悩ませる新たな“難敵”とは――。

 なでしこジャパンのW杯連覇阻止に向けた“包囲網”が厳しくなってきている。

【不安1】最近の女子サッカーでは“なでしこ潰し”ともいえる戦術を取り入れているチームが増えてきた。カナダもその一つだ。

 世界の女子サッカーに詳しいジャーナリストの一人は「なでしこのパスサッカーに勝つためにはフィジカル勝負に持ち込む、というのがこれまでのトレンドだったが、それだけでは不十分だということで新たなパスサッカーを模索するチームが出てきた」と説明する。

 今回のカナダ戦の1戦目でも何度か見られたが、日本からボールを奪った時にサイドバックのどちらかが高い位置を取り、その穴を守備的MFがカバー。これにより、日本のサイドハーフのMF川澄奈穂美(29=INAC神戸)と安藤は、もともとマークしていた相手MFと合わせて「1対2」の局面を作られてピンチを招いた。これで川澄や安藤のスピードは殺され、持ち味は半減。日本のサイドバックも動けなくなった。カナダの戦術熟成が進んでいないことで救われたが「ドイツなど欧州勢はそこを徹底してくるし、90分間持続できる技術と体力があるから怖い」(同)。

【不安2】日本に有利に働くと思われる人工芝だが、克服すべき課題もある。今回の遠征で選手たちからは「シュートが浮き上がってしまう」という声が続出した。慣れない人工芝でのプレーで、足元のグリップ力が低下したことが原因の一つだ。大儀見は「筋肉への負担がすごく大きいし、W杯の連戦になると全然違ってくる」という。

 カナダW杯から出場チームは、これまでの16から24チームに増えるため、優勝までの試合数も7試合となる。人工芝対策は連覇への大きなカギとなるが、日本では練習できる環境が少ないうえ、会場ごとに人工芝の状態も違うというから一筋縄ではいきそうにない。

【不安3】試合数の増加により、出場登録メンバーも前回までの21人から、男子のW杯と同じ23人に増える。選手層の厚さが求められるが、なでしこの戦力の底上げは進んでいない。レギュラークラスの「第1勢力」は安定し、ベンチ入りの「第2勢力」についても充実してきた。大儀見の妹のMF永里亜紗乃(25=ポツダム)はカナダとの2戦目で豪快なゴールを決めるなど、パワーアップが顕著。FW岩渕真奈(21=バイエルン・ミュンヘン)も欧州でのプレーで得意のドリブルに磨きがかかった。

 だが、国内組中心の「第3勢力」は伸び悩み。ドイツW杯、ロンドン五輪組以外でメンバー入りの“当確圏”にいるのはDF川村優理(25=仙台)、FW菅沢優衣香(24=千葉)くらい。なでしこリーグ上位の浦和で主力のFW吉良知夏(23)やMF猶本光(20)は佐々木監督の信頼を得ていない。代表常連組を脅かす力が台頭しておらず、競争力は低下。今後は新戦力の突き上げに期待したいところだ。